パンツ人口のほうが多い時代に「スカート専門ブランド」を立ち上げた「SHE Tokyo」が人気の理由とは?
スカート7型のみからのスタート。口コミで少しずつファンが付くように
「ファーストシーズンは、私たちの考えるベーシックを提案することに集中しました。バリエーションがあっても伝わらないと意味がないので、ファーストシーズンはたった7型のスカートのみ。スカートの王道で、SHE Tokyoといえばこれ! というブランドの顔になるようなものをまず作ることにしました。今回穿いているこちらのタック&フレアスカートも当時の7型の内のひとつ。今でも毎シーズン素材を変えながら作り続けている、ブランドのアイコン的なモデルです。 ただ、ブランドを立ち上げたものの、スタート時は知名度もお客様もゼロ。前職でPR経験があったので、“オンリースカートブランド”と書いたプレスリリースを一枚作成し、各出版社に手紙を付けてお送りするという地道でアナログな手法を取りました。すると瞬く間にメディアの方々が展示会に来てくださり、ニュース枠のようなコーナーに掲載いただけることに。 また、友人やそれまでの仕事でお付き合いがあった方々がたくさん展示会に来てくれたことも大きかったです。実際にスカートを穿いてくださった皆さんの口コミが重なって、少しずつブランドが知られるようになっていきました」
ブランドのポリシーは、セールをしないことと、受注生産メインにすること
「セールをしないことと、オンラインショップで少量販売している一部を除き、基本的に受注生産の形をとっていることも、私たちのブランドの特徴です。コロナ前までは行っていた卸売りも、今はしていません。 セールをしない理由は、百貨店時代に目の当たりにした、誰かが大切に作った服なのに季節の終わりが来るとどんどん値下げをされて最終的には廃棄処分になるという現実にやるせなさを感じていたからです。そのため基本的に受注生産という形をとって、必要な数だけ作るようにしています。 卸売りをしないのは、自分たちで作った服を自分たちの言葉で責任を持って伝えたいから。SHE Tokyoの服は実はすごく巧妙な作りをしているのですが、一見シンプルにも見えるので、自分たちで伝えないとお客様に伝わらずに終わってしまうことが多々あると分かってきたからです。なので、年に数回リアル開催する受注会とインスタライブを通して、素材やパターン、仕立てのこだわりなどを、自分たちの口でなるべく詳しくお伝えするようにしています。上質なものづくりを継続するために自分たちにフィットした手法を取り、ご理解いただいているお客様と一緒にブランドを作ってきた感覚です」