債権譲渡・動産譲渡登記の設定は「危ない会社」か?
譲渡人の最終利益率
62万484社の最終利益率は2021年4.6%、2022年5.4%、2023年5.9%だった。 一方、譲渡人の最終利益率は、資本金1億円以上が2021年6.1%、2022年7.6%、2023年8.4%。資本金1億円未満は、2021年2.0%、2022年2.0%、2023年2.2%だった。 債権・動産譲渡の登記が設定された企業は、資本金1億円以上は成長を促進し、1億円未満は経営が厳しい状況を示す。 資産背景に乏しく、資金調達力や与信枠の拡大が難しい企業でも、譲渡担保の活用で取引が円滑になり、利益率が向上する可能性もある。今後の焦点は、資本金1億円未満の中小企業への支援のあり方だろう。
多様な資金調達、そして業績向上へ
現状、資本金1億円未満の中小企業では、債権保全を目的に譲受人が債権譲渡・動産譲渡登記を設定している可能性が高い。 一方、資本金1億円以上の大企業は、不動産や経営者保証だけでなく、設備や在庫、無形資産など、多様な資金調達が可能で与信枠を広げ、業績向上につなげている実態がうかがえる。 今後、企業価値担保の発想がビジネスで広がると成長機会を喪失する企業は減るだろう。 債権譲渡・動産譲渡を登記された企業は決して「危ない会社」ではなく、未来の成長企業予備軍として育む視点が求められる。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年8月28日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)