いよいよ始まる“2024鈴鹿最終決戦” スーパーフォーミュラ最終戦プレビュー
もうひとつ、今年の王座争いの行方がまだ定まりきっていない要素として挙げられるのが、それぞれに長所と短所があるということだ。
ここまでの戦いぶりを見ると、決勝レースで一番安定して強いのは坪井。富士スピードウェイでの第4戦と第7戦で優勝した時は、いずれも後方グリッドから順位を上げてピット戦略で逆転していくというパターンで、昨年の宮田莉朋と同じような展開を作れていた。
逆に言えば予選でトップ3圏内に入れるかどうかがキーポイントとなりそう。鈴鹿はコース上での追い抜きが難しい分、いくらレースペースが良くて戦略に長けていたとしても、予選のポジションがレースの行方に大きく影響してくる。しかも、舞台となるのはホンダ勢が得意としている鈴鹿で、今季の坪井が唯一ノーポイントで終えた場所でもある。
坪井陣営からは「開幕戦でダメだったところの原因は分かっている」という声は聞こえるが、何が起こるかわからないのがスーパーフォーミュラ。予選でどこまでトップに近づけるかが、ひとつの注目ポイントとなりそうだ。
同じような点が課題となりそうなのが、ランキング2番手の牧野。振り返ると、今季開幕前のテストから毎回好調な走りをみせ、予選前のフリー走行でもトップタイムを記録することがあった。しかし、いざ予選になると最後の合わせ込みがうまく噛み合わずにトップ3圏外で終わってしまっている。実際に今季牧野が予選ポイントを獲得できたのは第2戦オートポリスのみ。「今年は牧野が速い」と言われ続けてきたなかで、それが思うように結果として表れていないのが現状だ。
前述の通り、鈴鹿は追い抜きが難しいためスタートポジションが非常に重要となってくる。予選から流れに乗れれば、勢いに乗って2戦連続で大量得点を稼ぐという姿も見られそうだ。
そして、3度目の王座を狙う野尻。今季は開幕戦で優勝を飾り、中盤戦もランキングをリードしてきた。ただ、内容面で見ると決して他を圧倒する速さや強さがあったわけではない。ある意味で、それを露呈したのが前回の富士大会だったような気がする。