年金の繰下げ受給、やっぱりやめます!…年金月20万円、定年後も働く64歳・サラリーマンが驚愕した年金制度の思わぬ「落とし穴」【CFPの助言】
安易に「年金の繰下げ受給」を選択するのは危険
「先生、私の65歳からの総報酬月額が50万円、基本月額が14万円なので、まさに在職老齢年金に該当しています……」と動揺する鈴木さん。 続けて、「自分が何歳まで生きるかはわからないものですが、繰下げ受給を選択すると税金や社会保険料の負担は増えますし、せっかく繰り下げたとしても全額が増額とならないのは、なんだかばかばかしく感じますね……」と肩を落としました。 「デメリットは確かにありますが、それでも繰下げ受給したほうが毎月のキャッシュが増えるのは事実です。繰下げ受給をしたほうがお得かどうかは、何年生きられるかで大きく変わるため、ある意味ギャンブルに近い部分があるかもしれませんね」とFPは話します。 「そのため、安易に繰下げ受給を選択するのではなく、繰り下げたことで具体的にいくら年金が増額するのか、繰り下げ期間中の生活費をどう賄うのか、在職老齢年金との兼ね合いなどをきちんと考慮したうえで判断する必要があります」とアドバイスします。 「もし鈴木さんが現在の年金見込み額と奥様の年金額とで老後生活を送れそうであれば、無理に繰下げ受給を選択する必要はないのかもしれません。家計の見直しが必要であれば、いつでも協力しますよ」と言葉を添えました。 それを聞いた鈴木さんは肩の荷が下り、年金の繰下げ受給をおこなわないことに決めました。 「先生のおかげで、迷いが晴れました。これからは妻と一緒に、年金を大事に使いながら、老後生活を送っていきたいと思います。また、しばらくは現在の職場で勤務できるので、その間にきちんと老後資金を貯めておこうと思います」と、鈴木さんは笑顔で感謝を伝えました。 その後、鈴木さんはFPのアドバイスを受けて家計の見直しを行い、無理のない範囲で貯蓄をしながら計画的な生活設計を整えています。 辻本 剛士 ファイナンシャルプランナー