年金の繰下げ受給、やっぱりやめます!…年金月20万円、定年後も働く64歳・サラリーマンが驚愕した年金制度の思わぬ「落とし穴」【CFPの助言】
鈴木さんのもとに届いた突然の悲報
65歳を迎えるまで残り数ヵ月となったところで、鈴木さんのもとに1本の連絡が入ります。 それは、7歳年上の元上司が交通事故で急死したという連絡でした。葬儀は家族葬で行われるため、鈴木さんは葬儀に参列することはできず、もう顔を見ることができないことに深い悲しみがこみ上げてきました。 その後しばらくして、鈴木さんはふと元上司のことを思い返しているうちに、「そういえば、あの人は70歳まで年金の繰下げ受給をしていたな」と、繰下げ受給のことを思い出しました。元上司は71歳で亡くなったため、結果的に1年程度しか年金を受け取れなかったということに鈴木さんは気が付きます。 「ちょっと待てよ。繰下げ受給で年金が増額しても、早く死んでしまったら年金額が少なくなって、繰り下げ損になるってことか」と不安を覚える鈴木さん。 だんだん繰下げ受給することに懐疑的になってきた鈴木さんは、居ても立っても居られず、知り合いのファイナンシャルプランナー(FP)に相談することにします。 鈴木さんはFPに繰下げ受給を検討していることと、早く亡くなってしまうと繰り下げ損になってしまうことに不安を抱いていることを伝えました。 すると、FPは鈴木さんに繰下げ受給の概要や注意点について、詳しく解説してくれました。
「年金の繰下げ受給」をすると年金受給額が最大84%増額する
年金の繰下げ受給とは、本来65歳から受け取れる年金の開始時期を遅らせる制度です。受け取り時期を遅らせることで、1ヵ月あたり0.7%受取額が増額する仕組みとなります。現在は75歳まで繰下げ受給ができるため、最大で84%増額できます。 鈴木さんの年金見込み額が20万円なので、70歳まで年金を繰り下げると42%増額するため、28万4,000円になります。28万円であれば、毎月の生活費はかなり安定しそうです。 しかし、繰下げ受給には注意すべきデメリットがいくつかあります。主なデメリットは次のとおりです。 ・年金の繰り下げ損 ・税金や社会保険料負担の増加 ・在職老齢年金との関係