箱根駅伝優勝の青学大がガチンコミーティング 3区の鶴川は男泣き 1区の宇田川は反省
第101回箱根駅伝(2~3日、東京・千代田区読売新聞社~神奈川・箱根町芦ノ湖往復=10区間217・1キロ)で総合新記録の10時間41分19秒で、2年連続8度目の総合優勝を飾った青学大は歓喜から一夜明けた4日、東京・町田市の選手寮で大会を総括するミーティングを行った。出場した10選手がレースの感想やサポートした仲間への感謝など様々な思いを伝えた。最初で最後の箱根駅伝で3区4位だった鶴川正也(4年)は「やっと箱根駅伝を走れました」と男泣きしながら話した。1区10位だった宇田川瞬矢(3年)は「本当に悔しいです」と反省した。 大一番を終えた3日夜、青学大チームは選手寮で祝宴を挙げた。青学大駅伝チームの選手寮で飲酒できるのは1年に1度。勝っても負けても箱根駅伝復路が終わった1月3日の夜だけだ。原監督、妻で寮母の美穂さん(57)をはじめ、コーチ陣と20歳以上の選手はアルコール類を、20歳未満の選手はスポーツドリンクなどを飲みながら、箱根駅伝と箱根駅伝に向けて取り組んだ1年間を語り合った。主将の田中悠登(4年)は「午前4時まで飲んでいました。本当に楽しかったです」と笑顔で昨夜の様子を明かした。 この日、原晋監督(57)、出場選手10人、片桐悠人主務(4年)らは昼過ぎに東京・港区の日本テレビで番組収録に参加した。最終10区で優勝のゴールテープを切った小河原陽琉(1年)が両人さし指を頬に当てるポーズについて、田中悠登主将(4年)は、今季のチームテーマ「大手町で笑おう」を略した「おてわらポーズ」と命名するなど楽しい時間を過ごした。 勝利の美酒(20歳以上)を味わい、勝利の余韻に浸ったが、午後4時30分から行われたミーティングでは雰囲気が一変した。 インフルエンザ感染対策として昨年の12月以降、チームミーティングは最小限の人数だけが参加し、寮生活をしていない女子マネジャーらはオンラインで参加していた。この日は、約1か月ぶりに選手、スタッフ、マネジャーのチーム全員が選手寮の食堂に集結した。 冒頭、原監督が「我々の正月は箱根駅伝が終わった後になりますので、まずは明けましておめでとうございます。そして、みんなの力で優勝することができました。みんなで喜びあいましょう」とあいさつした。 その後、激しいチーム内の選手選考を勝ち抜き、箱根駅伝ではライバル校に競り勝った出場10人が、それぞれの思いを語った。テレビインタビューなどでは、冗談交じりで笑いを取りにいく選手が多いが、このミーティングは真剣そのもの。青学大のリアルでガチンコだった。 各選手の言葉は以下の通り。 1区10位・宇田川瞬矢(3年)「優勝できてホットしています。みんなに助けられました。自分の走りは本当に悔しい。今季のチームテーマは『大手町で笑おう』で、それを達成することができましたが、本当に心の底から笑えるのか、と今、思っています。来年は心の底から笑えるようになりたいです」 2区3位・黒田朝日(3年)「今回も目標は前回以上の走りをするということでした。タイムは超えることができましたが、もし、チームが負けていたら、目標を達成したとは言えませんでした。来季は山区間を走った強い先輩が抜けます。全員の力を合わせて今季のチームを超えるチームをつくっていきましょう」 3区4位・鶴川正也(4年)「想像していた箱根駅伝とは違いましたが、4年間、やってきて、やっと箱根駅伝を走ることができました…。チームの支えがあって走ることができました…。今回、走れなかった選手は悔しいと思う。でも、努力すれば必ず箱根駅伝に近づくということを後輩に伝えたいです」 4区区間賞・太田蒼生(4年)「4年間、すべての箱根駅伝が美しかったです。最後に大手町で笑えてうれしかったです。バラバラな4年生でしたが、最後はまとまることができました。僕を目標としている後輩は僕に憧れるのをやめてほしい。もっと、自分のエゴをむき出しにしてほしい。それが箱根駅伝で4連覇できなかった先輩の思いです。4連覇、5連覇を目指してほしい」 5区区間賞・若林宏樹(4年)「これまで何度も箱根の山を走りましたが、今回が一番、きつかった。往路優勝のゴールテープを3回、切ることができました。OBとして、その経験を伝えたいので、どんどん聞いてください」 6区区間賞・野村昭夢(4年)「今季は大学駅伝3冠と箱根駅伝6区56分台を目標にやってきました。出雲駅伝、全日本大学駅伝ではチームに貢献できませんでしたが、最後の箱根駅伝で56分台を出すことができました。昨日(3日)の朝、寒い中、箱根の山の中で応援してくれたチームメートに感謝します。ありがとうございました。来年の6区は佐藤有一(3年)が一番候補と思います。56分台を目指して練習に取り組んでほしい」 7区9位・白石光星(4年)「最初で最後の箱根駅伝を走ることができました。今、思うことは、もう1回、走りたい、ということです。力を発揮できませんでした。でも、もう走ることはできないので、次のステージで頑張っていきます」 8区区間賞・塩出翔太(3年)「(最終8区で首位から3位に逆転された)全日本大学駅伝の借りを返せてホッとしています。今回、出場した6人が4年生です。来季は一人ひとりが自覚を持つことが必要と思います。一日一日を大切に過ごし、来年も大手町で笑いましょう」 9区2位・田中悠登主将(4年)「今回、初めて箱根駅伝で先頭を走ることができました。こんなに気持ちがいいものなのか、と思いました。とても、幸せなことでした。この4年間、苦しいことの方が多かった。今、苦しい状況の人もいるでしょう。箱根駅伝を目指すことは苦しいけど、それだけ価値があるものです。今、一生懸命にやって良かったと思っています。昨日の大手町の景色を一生忘れません」 10区区間賞・小河原陽琉(1年)「自分の走りができました。(10区のメンバー争いをした)佐藤愛斗、安島莉玖(ともに1年)に恥じない走りができたと思います。僕たちの世代は最強世代と言われる中で、区間賞を取って、みんなに刺激を与えることができたと思います。10区の景色は最高でした。ありがとうございました」 青学大は今季のチームテーマ「大手町で笑おう」を実現するために1年を過ごした。選手寮玄関の連絡用ホワイトボードには大きな文字が書かれていた。 「大手町で笑えた!」
報知新聞社