「週刊ダイヤモンド」が書店販売をやめる…創刊111年「老舗経済誌」のデジタルシフトを、担当局長&編集長が語った
2019年にサブスクに参入
――編集部で「デジタル」が中心になっていった時のことを教えてください。 山口氏「2019年6月にデジタルのサブスクに参入して以降、デジタルで記事を配信することを最優先し、そこから雑誌に転載するという形をとっています」 ――具体的な数字はどのようになっていますか。 山口氏「2024年1-6月のABC公査データでは、デジタルの有料会員4万3049、雑誌の定期購読が3万1779、雑誌の市販が1万6862です。全体の読者数は9万1782(直販92 含む)で、そのうち81.5%がサブスクリプション(デジタルと雑誌の定期購読を合わせた数)にあたります」 ――今後、どのような数字を目指すのでしようか。 山口氏「サブスクの比率を伸ばして、数年後にはデジタルの有料会員数を10万にまで伸ばしたいと思っています」 ――「10万」という数字はどこからきていますか。 山口氏「事前に推定した経済メディアのサブスク事業の市場規模を参考にしています。また、2010年頃の週刊ダイヤモンドの実売部数は10万部を超えていました。その頃の水準まで、デジタルで戻すことが目標です」 ――現在までの変化について教えてください。 浅島氏「2000年頃、雑誌の実売部数は10万部を優に超えていました。そこからスマホの普及などもあって、少しずつ減らしていきました。それでも、当時はライフスタイル系の特集などで部数を維持できていたんです」 ――雑誌の売れ行きが本格的に厳しくなったのはいつからですか。 浅島氏「リーマンショックや東日本大震災など大きな出来事があった2010年前後から、徐々に苦しくなったように思います。その後も自然災害やコロナのような大きなインシデントがあり、部数がどんどん抜けていく印象がありました」 ――その後、どのようにオンライン化を進めたのでしょうか。 山口氏「2018年に週刊ダイヤモンド編集部とダイヤモンド・オンライン編集部を兼任する副編集長となって、デジタルサブスクのプロジェクトを立ち上げました。週刊誌市場が急激に縮小し、デジタルでの収益化が待ったなしの時期に来ていたからです」 ――当時はどのような構想を持っていたのですか。 山口氏「今までの雑誌流通ルートは細りつつありましたが、コンテンツ自体はここでしか読めない独自性の高いものを提供していたので、新しいデジタルルートを構築できれば、必ず成功すると考えていました。そこで、デジタルでサブスクを展開するという方向に舵を切ったんです」