尹大統領ついに「弾劾案可決」でこれから韓国で何が起こるのか、次期大統領候補と言われる李代表も実はピンチ
こうした一方的な攻勢が可能だった背景には、”スーパー野党”の存在がある。今年4月に行われた総選挙では、野党6党合わせて300議席中192議席を獲得している。 ■韓国人が談話でおかしいと思ったポイント ただ、韓国の人々が談話に首をかしげたのは、「2024年4月の総選挙での不正操作疑惑」のくだりあたりからだ。尹大統領は戒厳令を宣布した後、戒厳軍を中央選挙管理委員会へと向かわせた。総選挙が不正操作されたと考え、データの複写が目的だったといわれている。
韓国の公共機関へ北朝鮮によるハッキングが発覚したことがあったが、関連性を疑っていたようだ。ただ、国家情報院がすでに調査済みで、ハッキングは発見されなかったことがわかっている。 「野党の攻勢は度を超してはいましたが、そもそも野党に議席を許したのは、尹大統領の失政でした」と中道系紙記者は言う。ブランドバッグ受け取りなど夫人のリスク管理の怠慢、大学、高校の学閥人事、英断とされた医療改革も強引に推し進めることしかできなかった政治力の不在などを挙げて、こう続けた。
「中道だった尹大統領は政治基盤がないがために支持率を上げようと保守のように振る舞いました。そのうちに中道保守からの支持を失って、極右の主張に傾倒してしまった。戒厳令で野党を抑えこもうという発想はこうした極右の主張からくるものだったのでしょう」 14日夕刻、弾劾訴追議決書を受け、憲法裁判所は罷免の是非を判断する手続きに入った。審理は6カ月以内とされるが、盧武鉉元大統領は63日、朴槿恵元大統領は91日だった前例から考えると、判決は3月か4月になることが予想される。憲法裁判所の9人の裁判官のうち6人以上が弾劾訴追と判断すれば罷免となる。
憲法裁判所で罷免が認容されれば、60日以内に大統領選挙を行うことが定められており、5月か6月の大統領選挙が見通されるが、韓国政界は早くも次期大統領選の様相だ。 次期大統領候補としてもっとも有力とされるのは、共に民主党の李代表だ。同氏は尹大統領が弾劾訴追となった15日、さっそく国会で記者会見を開き、国政の安定化のために「国会と政府が共に国政安全協議体を構想する」ことを訴えた。その風情はまるで大統領で、スーパー野党が行政を主導するという意味にもとれる発言に与党「国民の力」はこれを即座に拒否している。