【闘病】お腹が痛む原因は「濾胞性リンパ腫」… ステージ4まで進行していた
副作用と合併症に苦しんだ抗がん剤治療
編集部: そこからどのように治療を受ける決断をされたのですか? 比志さん: 治療を先延ばしにして半年ほど経ち、病状がどんどん悪化していったので、「BR療法」という抗がん剤治療を受けることを決めました。 当時、新薬とされていたベンダムスチンがそれまでの治療薬より副作用が少ないかもしれないと言われたことになんとか希望を見出したのですが、実際の副作用は凄まじく、体の痺れや強い倦怠感、とにかく辛い日々が1週間ほど続き、徐々に回復してきたと思ったら、次のサイクル……。 それを約半年間続けました。便秘や吐き気もひどく、胃腸が動かず、食事もままならなくなり、体力は落ちる一方でしたが、寛解には至らなかったものの、治療の効果はありました。 腫瘍マーカーの数値も正常値に近づき、症状も落ち着いて体力も回復した頃に結婚、夫と暮らし始めました。 編集部: 結婚されたのですね。 比志さん: はい。ただ以前のような生活はできず、仕事の受注も減り、家事と犬の世話をする毎日で、人と関わることを避けていました。 30代半ばという年齢だと世間では仕事、家事、育児をこなしている女性が多くいる中、自分は持病を抱えたまま社会と接点を持つ機会もなく、生産性のない日々を過ごしていることに負い目を感じていました。 病状は落ち着いたものの、精神的なダメージを引きずっていた時期です。ネガティブな思考から抜け出せず、将来への不安を強く感じていました。 編集部: 治療は順調に進みましたか? 比志さん: 順調とは言えません。経過観察の通院が続く中、関節の痛みや痺れ、口内や目の渇きが気になり、主治医に相談したところ、膠原病・リウマチ内科を受診することになり、「シェーグレン症候群」という自己免疫疾患の可能性があると言われました。 悪性リンパ腫と指定難病とされるシェーグレン症候群は合併症のリスクが高いようです。治療として、症状を軽くするためのステロイド剤と、口内や目の渇きを潤す薬を服用しましたが、症状が改善することはありませんでした。 その後、リンパ腫の病状が悪化し始めた際に医師が提案してくれたのもステロイド剤の服用でした。この時は以前の倍量が処方されていたので、薬で楽になった実感はあったものの、不眠、便秘、吐き気などの副作用もありました。 編集部: そうだったんですね。 比志さん: 関節の痛みに加えて、それ以前からあった右耳周辺の痛みや痺れが強くなっていたので、自宅から車で1時間ほど行ったところにあるペインクリニックで星状神経節ブロック注射(SGB)を打ってもらっていました。 注射の当日はほぼ痛みを感じずにいられますが、すぐに痛みが戻ってくるので、多い時は1~2週間に1回程度の頻度で通院していました。 編集部: 再発があったと伺いました。 比志さん: 数年が経った2019年、次第にまたリンパ節の腫れが目立ち始め、また症状が出始めました。徐々に生活がままならなくなり、治療を余儀なくされました。あんな思いは2度としたくないと思っていましたが、痛み、倦怠感、寝汗などの症状が強くなりました。 病理検査の結果は、前回と同様「濾胞性リンパ腫」でした。 この時の治療で使われた薬剤はガザイバとベンダムスチンを併用する「GB療法」となり、本来6サイクルの予定でしたが、4サイクル目で血管に薬が通らなくなってしまい途中で終了し、その後にガザイバ単独投与の維持療法を2ヶ月に1回、約2年間行いました。 副作用は前回とほぼ同じで、骨髄抑制と倦怠感で動けない日が1週間ほど続き、吐き気と便秘に悩まされ、さらにはこの治療を機に生理が止まり、精神不安定やホットフラッシュなど、いわゆる更年期障害が起きました。