不正・腐敗への対抗策としてのブロックチェーン
あなたの会社では最悪のシナリオを想定した計画を立てているだろうか? 法の支配が損なわれ、不正や腐敗が蔓延したらどうするだろうか? 2024年は、史上最大かつ最も重要な選挙の年となる。世界は不安定な時期に突入し、ヨーロッパで再び戦争が起こり、第二次世界大戦後の国際秩序そのものが揺らいでいる。分散型テクノロジーは、法の支配の完全な崩壊に対して意味のある保護を提供することはできない。だが、そのようなことが起こる可能性はきわめて低い。
分散型テクノロジーが緩和できるリスク
とはいえ、法の支配が侵食される可能性は残っている。極端な政治的行動が、予測可能で安定した環境に依存する企業や投資家を弱体化させ、企業に重大な問題をもたらす可能性がある領域がいくつかある。私は特に、分散型テクノロジーを注意深く適用することで少なくとも3つのリスクを相殺できると考えている。 このような究極の透明性は、成熟した経済圏の企業にとっては躊躇されることだが、現実的で実績のある戦略的選択肢だ。 インドのマハラシュトラ州では、Sahyadri Farmers Producer Companyの協同組合農家は、中間業者による恣意的な値付けと、大きく異なる利幅に不満を抱き、地元のスタートアップEmertechの協力を得て、すべての出荷と価格をポリゴン(Polygon)ブロックチェーンに乗せた。その結果、諸経費が削減され、すべての関係者にとってより公平な価格が実現した。
ノーリスク、ノーリターン
ほとんどの企業、特に大企業は、それがどれほど恣意的なものであっても、ルールに従う以外にほとんど選択肢がない。これが、多くの国で消費者による暗号資産(仮想通貨)の採用が、企業による採用を大きく上回っている理由のひとつだ。 政府は一般的に、すべての違反行為に対してすべての消費者を訴追する力を持っているわけではない。自国通貨を暗号資産やステーブルコインに交換することは合法ではないかもしれないが、個人は監視の目をかいくぐることができる。しかし、企業には不動産や工場など、莫大な価値のある現実資産があり、政府は罰則として差し押さえることができる。 ブロックチェーンと暗号資産は、今後数年間で企業が直面する大きな政治的リスクの一部を軽減することができる。しかし、利益を得るためにはリスクを取らなければならない。それは、市場に資産、人材、資源を投入し、その浮き沈みを受け入れることを意味する。ノーリスク、ノーリターンだ。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:Blockchains Against Corruption
CoinDesk Japan 編集部