【認知症専門医が解説】認知症の徘徊対策に有効な「7つの方法」
一人で家を出て帰ってこられなくなる「徘徊」も、よく耳にする認知症の症状だ。目が離せないと、家族にとっては気が気でない。そんなときの対処方法を、認知症専門医、「メモリーケアクリニック湘南」院長の内門大丈さんに伺った。
本人には外出した理由があります
「徘徊も暴言・暴力、妄想・幻覚などと同じように、BPSD(認知症の行動・心理症状)のひとつで、認知症の中核症状による二次的な症状です。本人の性格や体調、生活環境などでさまざまな症状があり、どの症状が出るかは人によって異なります。そのなかでも、徘徊は目が離せなくなるため介護の負担が増え、警察などを巻き込むこともあるので、家族にとっては大きなストレスになります」(内門先生) 室内や家の外を絶えず歩き回る、外出したが方向がわからなくなって帰ってこられなくなる。転倒によるケガや交通事故、夏場は脱水症状や熱中症、冬場は低体温症の心配がある。家族は気が気でない。 「こうした状況も、はたから見ると目的がなく、ただ歩いているように見えるかもしれません。しかし、本人ははっきりとした目的や理由があって外出することも多いのです。例えば、会社へ行こうとしていたり、親族や友だちに会いに行く、買い物が目的かもしれません。 認知症の人は最近のことは覚えられないのですが、昔の記憶は残っています。そこでよくあるのが、突然子どもの頃の記憶がよみがえって、生まれ故郷の町にいる錯覚に陥るのです。しかし実際は違う町なので、道がわからなくなるわけです」 また、いつも同じ時間に同じコースを歩きたがるのは、前頭側頭型認知症に多い症状だという。 「これは前頭葉や側頭葉が縮んで発症します。特に前頭葉の変性が原因となることが知られています。この場合、同じ行動を繰り返すというのが特徴です。 夜間に外出しようとする場合は、睡眠障害で昼夜が逆転していることもあります。朝起きて、太陽の光を浴び、朝食をとることで体内時計をリセットし、昼間は活動的に生活するといったメリハリのある生活が重要です。寝ているときに呼吸が一瞬止まる、睡眠時無呼吸症候群の症状がないか?も確認してください」