大量閉店「いきなり!ステーキ」の現在地。「肉マイレージカード」の改悪にファンから批判も…収益は改善したワケ
いきなり!ステーキで急成長
ペッパーフードサービスは「いきなり!ステーキ」事業でも成功しました。初出店は2013年12月の銀座4丁目店。米と肉を一緒に提供するペッパーランチに対し、いきなり!ステーキは名称通り、ステーキを主軸としています。「俺のフレンチ」に着想を得たとされ、当初の立ち食いスタイル(2016年頃から座るスタイルが主となる)とオーダーカット制が注目を浴び、同社のヒット作となりました。狭い店舗を高い回転率で運営することにより低価格化に成功。1,000~2,000円台でステーキを気軽に食べられる店舗は少なく、瞬く間に店舗数を拡大しました。 出店から僅か2年後にはいきなり!ステーキ事業の売上高が84.5億円と、ペッパーランチ事業の52.0億円を上回り、同事業が主力事業となりました。2016年度には100店舗、18年度には300店舗を達成し、2019年12月期末時点で490店舗となりました。
拡大を続けた結果、「共食い」で業績が悪化
規模拡大を続ける一方、いきなり!ステーキの収益性は悪化していました。18年度で53.1億円だった同事業のセグメント利益は19年12月期には19.2億円まで縮小し、20年12月期にはコロナ禍も影響して赤字に転落します。業績が急に悪化したのは、過剰な出店によって店舗同士の「共食い」が発生したためです。 400~500店舗といえば現在の「かつや」や「なか卯」と同じ程度の規模。そもそもステーキを食べる習慣は定着しておらず、話題性に支えられていたいきなり!ステーキは、急に業績が悪化することとなりました。19年度は既存店の客数が前年より3割も減りました。FCより直営店が多いことも、業績悪化に拍車をかけました。 前述の通り19年度末時点で店舗数は490。再建のため、当時339店舗を展開していたペッパーランチ事業をPEファンドに売却せざるを得ませんでした。ちなみに現在ではホットパレットが運営しており、国内外で500店舗を運営するなどペッパーランチは今でも健在です。