EVで渋滞の高速道路を走行 増える急速充電器 次の課題は?
7月の記事でもお伝えしたが、 BMWが発売した電気自動車『i3』が話題になっている。数年前、充電インフラ不足が普及のネックといわれていた電気自動車(EV)だが、ここ数年で急速充電スポットは急増。NEXCO中日本の積極的な整備もあって、東京~大阪間の高速道路SAに急速充電器が設置され、i3などの市販EVで問題なく走りきることができるようになった。 【写真】BMW『i3』で体感する電気自動車の可能性 日産『リーフ』も世界累計の販売台数が10万台を突破。日本国内でも普通に街を走るEVを目にする機会が増えている。EVが増えると、急速充電器の混雑という課題が生まれてくる。はたして、現状はどうなのか。8月のお盆休み、東京から兵庫の郷里への帰省の機会を利用して、お盆渋滞のまっただ中をEVでロングドライブするとどうなるのかを試してみた。
吹田~東京は10時間 意外とスムーズ
【急速充電場所と回数:復路】 大阪市内(新大阪駅) ↓ 【1】名神高速道路吹田SA ↓ 【2】名神高速道路草津PA ↓ 【3】東名阪自動車道御在所SA ↓ 【4】伊勢湾岸自動車道刈谷PA ↓ 【5】新東名高速道路浜松SA ↓ 【6】新東名高速道路静岡SA ↓ 【7】新東名高速道路駿河湾沼津SA ↓ 【8】東名高速道路海老名SA ↓ 東京(世田谷区内) これが、復路の吹田~東京間で充電した場所である。新大阪駅の近くからスタートしたのは8月17日の午後4時頃。東名高速道路の東京ICで下りたのは、翌18日の午前2時頃。大阪~東京間を、約10時間かけて走ったことになる。 この日は朝から帰省ラッシュ予想がニュースで騒がれていた。でも、思ったほどの渋滞に巻き込まれることはなく、新名神と東名阪の合流地点で20キロほどの渋滞表示があったので、カーナビの指示に従って甲賀土山ICでいったん高速を下りて四日市ICまで一般道で迂回した程度。とはいえ、高速道路は全線にわたって混雑気味だった。 大阪~東京間の距離は約500キロ。通常時、エンジン車で走れば所要時間は5時間30分程度だろう。今回の検証ドライブでの充電回数は8回。ルート上の急速充電器が設置されている場所では、ほぼもれなく(足柄SAはスルーした)充電したことになる。吹田では充電しなくても草津まで行ける距離だったから、実質7回といってもいい。 EVに興味のない人は「やっぱり面倒だ」と思うかも知れないが、EVびいきの私の率直な感想としては、とてもスムーズで楽ちんなロングドライブだった。急速充電はドライバーの休憩になる。500キロで8回の休憩はたしかに多いが、おかげで疲れはとても少ない。まして、今回のクルマはBMW。シートの座り心地など「走り」に対する仕上がりの良さは言うに及ばす、前車追随式クルーズコントロールの使い心地が素晴らしく、数キロ程度の渋滞は気にならないほど快適に運転できた。 ことに、2年ほど前に同じルートをi-MiEVで走った時と比べると、刈谷PAや草津PAに急速充電器が設置されたのがありがたかった。以前は、市販EVで走りきれる距離に急速充電器がなく、一度、高速道路を下りなければならなかったからだ。 結論としては、東京~大阪間については、もうEVでまったく問題はないと感じる。一方で、今回の検証で改めて感じた課題もある。いくつか、整理して紹介しておこう。