【密着ルポ】最後(?)のプロ野球トライアウト 野球人生を懸けた男たちの喜びと嘆き「意思表明の場。それだけでも意味があると思う」
しかし、トライアウト終了後、"不参加組"の阪神・岩田(→DeNA)、加治屋(→楽天)、遠藤成(→オリックス育成)、DeNA・楠本(→阪神)、石川(→巨人)、ソフトバンク・仲田慶介(→西武)、佐藤琢磨(→ヤクルト育成?)、笠谷俊介(→DeNA育成)、日本ハム・黒木優太(→西武育成)、楽天・澤野聖悠(→ヤクルト育成?)らに獲得の話題が出る一方、"参加組"は25日現在、豪球でアピールした楽天・清宮を日本ハムが育成で獲得したほか、ロッテが「2球で終わった」ソフトバンク・中村との育成契約に関心を示しているとされる程度。現行のトライアウトでの採用率の厳しさをあらためて印象づける結果となっている。 「過去に参加した選手にアンケートを取っても、全員が『トライアウトがあって良かった』という意見で、否定的な声はありませんでした。選手が望むなら、選手会としてはやらない理由はありません。選手会の主催でやるのか、引退式のようなものだけになるのか、あらゆる可能性をこれから考えていきたいと思います」 今後は12月の選手会総会で方針が決定し、それからNPB側との交渉。NPB主催では難しいと判断されれば、来年以降は選手会主催、あるいはまた別の形でのトライアウトとなる。 ただ、引退試合という意味では、今オフに3回目が行なわれるイベント「THE LAST GAME」がある。また、民間の主催例としては、国内外の選手を対象にした「ワールドトライアウト」、2年前から沖縄で行なわれている「ジャパンウインターリーグ」などがあるし、過去には静岡市がNPBのトライアウトを誘致したこともある。それでも新たに開催するのなら、必要な場所、人員、費用など、乗り越えるべき問題は山積みだ。 選手たちの生き残りを懸けた物語は続いていくのか。それはトライアウトという制度の生き残りを懸けた、これからの展開次第だ。 取材・文/村瀬秀信 協力/杉田 純 撮影/村上庄吾