「りくりゅう」に続け!「ゆなすみ」ペア、ダイナミックで華のある演技の源泉は『フェラーリ』級のスピード
◇記者コラム「Free Talking」 フィギュアスケートのペア競技の日本勢は三浦璃来(22)、木原龍一(32)組=木下グループ=の1強状態。2022~23年シーズンに世界選手権やグランプリ(GP)ファイナルなど主要国際大会全てで優勝する「年間グランドスラム」を達成するなど世界の第一人者として君臨している。「りくりゅう」に次ぐ強豪カップルの出現は、日本のペアでの宿願となりつつある。 筆頭格で力をつけているのが「ゆなすみ」こと長岡柚奈(19)、森口澄士(22)組=木下アカデミー=だ。2度目の出場となったGPシリーズ第4戦・NHK杯(東京)は8組中7位ながら、フリーのリフトのGOE(出来栄え点)で2・20と大幅な加点を獲得。翌週の第5戦・フィンランド大会に出場するなど、海外でも通用する実力を見せている。 ダイナミックで華のある演技の源泉は、ブルーノ・マルコットコーチに「フェラーリ」と評されたスピード。リンクを広く使うことで技の躍動感が生まれる。森口も「持ち味はスピード」と自信を語り、「それをコントロールできているのを見せないと」と意気込む。 長岡にとっては初めてのパートナー。「こわもてで、ちょっと怖そうと勝手に思っていた」という第一印象を持ってから1年がたち、「ストイックで研究熱心。向上心にあふれている」。森口も長岡を「ペアスケーターにすごく向いている。人をフォローできる力があり、このチームの強みにもなっている」と厚く信頼する。 年長者でペアでの競技歴も長いこともあり、普段は森口が長岡をリードしている様子だ。でも、フィンランド大会の出場決定を発表する際には長岡が森口に話すべき内容を耳打ちする場面も。結局、長岡がマイクを持った。信頼とともに、遠慮ない関係が見て取れた。 NHK杯ではジャンプのミスを別のジャンプでカバーする際、2人の息が合わなくなるなどの課題が出た。「そういう面で演技が途切れる印象を与えてしまう」と長岡は言う。収穫と課題が見えたGPでの連戦をへて、12月20日開幕の全日本選手権(大阪)では「りくりゅう先輩」と慕う三浦、木原組に胸を借りる。(冬季スポーツ担当・渡辺拓海)
中日スポーツ