全米9州で大麻合法化を問う住民投票、うち8州で賛成多数に
有名企業によるビジネス参入の噂も
ウルグアイが大麻の合法化に踏み切った一番の理由は、大麻に関連した犯罪を減少させることであり、大麻栽培や販売を国が管理することで得られる税収に対する期待は存在しなかった。 しかし、ウルグアイの100倍近い人口を抱えるアメリカでは、大麻の栽培や販売を自治体が管理することによって得られる税収の額も大きい。コロラド州では昨年、大麻販売の売り上げが約1000億円に達しており、120億円以上の税収があった。これは同州におけるアルコール類やカジノからの税収よりも多い数字だ。ワシントン州では2014年以降の大麻関連の税収が1000億円を突破。経済と人口の両面でコロラドやワシントンよりもはるかに大きいカリフォルニアで嗜好用大麻も合法化されたため、今後より大きな税収を州側は確保できるだろうという期待も存在する。 個人ではなく、企業が莫大な資金を投入して大麻ビジネスを開始する日も遠くないという指摘もある。ブルームバーグは4月、大麻合法化に関する分析記事を発表し、喫煙者が減り続けるアメリカ国内で、たばこ会社が大麻合法化を注視していると報じた。10年前に約21パーセントであった国内の喫煙率は約17パーセントにまで減少。国内での収益確保が一層難しくなる中、たばこ会社は合法化拡大の度合いを見て、ワシントンでロビー活動を大々的に展開するのではという見方もある。ブルームバーグによると、アメリカの複数のたばこ会社は1970年代に、大麻が合法化された際にたばこ会社がどのような形で大麻事業に参加できるのか、メリットとデメリットについて研究を行っていたのだという。 大麻合法化に注目しているのはたばこ産業だけではない。マイクロソフトは6月、大麻産業に特化したソフトウェアを開発するカインド・フィナンシャル社との提携を発表した。カリフォルニア州を拠点とするカインド社は、販売目的の大麻(6月の時点でカリフォルニア州でも医療用大麻の栽培や販売は合法であった)の追跡管理を行うクラウドサービス事業の開始を発表。この追跡管理システムはマイクロソフトのクラウドサービス内で行われる。カインド社のような大麻ビジネスに注目するスタートアップ企業は少なくないと米メディアは報じており、栽培状況の把握や流通管理に特化したサービスの提供が近い将来開始される可能性は高い。