「こんなこと許されるの?」調査委員会が認定した「いじめ」は裁判で一転否定、どん底に突き落とされた母親の怒り 命を絶った娘のために闘い続けた11年
「女子生徒の孤立感は担任や部活の顧問が把握していたものの、孤立感を把握していたことだけで、具体的な自殺防止義務が発生するというのは困難」 いじめを認定し、自殺防止の可能性にまで言及した調査委員会の報告書と異なる結論だ。すぐに控訴したが、2023年5月、大阪高裁も請求を棄却し、裁判は終わった。 いじめが認められなかった―。一気にどん底に突き落とされ、言葉が出なかった。 高裁判決では、2015年4月の報告書でいじめが認定されていたが、「必ずしも調査委員会と(裁判所が)同一の結論に至るとは限らない」と結論付けた。 娘が亡くなってから11年。2024年3月28日は「闘い」を終えてから初めての命日だ。裁判さえ起こさなければ、一度認定された「いじめ」が否定されずに済んだかもしれない。だが、後悔はない。「わが子がなんで死んだのか分からんと生きていけない。知りたいと思うのが親」 そうは言っても、心の中のわだかまりは消えない。「学校側が立ち上げた調査委員会の報告書を、司法の場で学校側が否定して、結果その通りになった。こんなことが許されていいの?」
× × 記者は2024年2月、橿原市教育委員会に現在のいじめ対策などについて問う質問状を送った。橿原市は、いじめに関する保護者からの問い合わせを受ける相談員や、学校に法的な視点からアドバイスをする弁護士を配置したと回答。その後、同様の事案は発生していないという。 当時の訴訟については「いじめの有無が直接、違法に当たるとはいえない」とした。