「こんなこと許されるの?」調査委員会が認定した「いじめ」は裁判で一転否定、どん底に突き落とされた母親の怒り 命を絶った娘のために闘い続けた11年
学校や教育委員会に、在校生を対象にアンケートをするよう迫った。だが、学校側は家庭内の問題とみており、調査に難色を示した。それでも何度も要望を重ね、なんとか実施にこぎつけた。 集まったアンケートには、クラスで無視されている様子などを見聞きしたという回答が40件以上寄せられていた。 ▽報告書は学校の対応を非難「大人の汚い論理でもてあそんだ」 教育委員会もこの結果を無視することはできず、いじめの有無を調べる調査委員会を設置。ただ調査に後ろ向きだった教育委員会に不信感があり、調査の実効性にも疑念を持っていた。せめて委員の人選に関して遺族の意向を反映させるよう訴えたが、実現しなかった。 そんな中、調査委員会のメンバーに、直前まで市の顧問弁護士をしていた人物が含まれていることが判明。さらに、娘の死後、この弁護士が「将来は訴訟になる」と市に助言し、訴訟に備えて、市が親族の戸籍や住民票を取得していたことが発覚した。
遺族を敵対視しているかのようなやり方に、不信感はいっそう募った。遺族の反発を受け、この委員は解任され、調査委員会のメンバー全員の人選をやり直すこととなった。 娘が亡くなった日から2年が過ぎた2015年4月。新たな委員で構成された調査委員会が、約180ページに及ぶ報告書を公表した。 報告書は、娘が同級生たちから避けられたり、嫌なことを言われたりしていたと認定。無視されるなどの仲間外れがあったことにも触れ、「いじめは優に認められる」と、結論付けた。 また「女子生徒の顕著な変化が救いを求める信号であったと受け止めることは、十分可能だったと思われる」とも明記。学校側が娘の様子の変化を把握しており、自殺を防げた可能性についても踏み込んだ。 報告書では、遺族に対する姿勢や調査委員会の人選をめぐる学校側の対応を、極めて強い言葉でこう指弾した。 「子どもの死を汚れた大人の論理でもてあそんだことは誠に許しがたい」