巨人が「ドラフト6位」でエース戸郷翔征を獲得できた理由
日本を代表する右腕に君臨したと言って良いでしょう。 巨人のエース・戸郷翔征です。5月24日、甲子園球場で行われた阪神との“伝統の一戦”では猛虎打線を相手に、ノーヒットノーランを達成。プロ野球89人目、101度目の快挙となり、チームの連敗を4で止める快投に、G党の歓喜は止みませんでした。 【動画】最後は三振で締めた!戸郷が史上89人目のノーヒットノーランを達成したシーン スポーツ紙のデスクは言います。 「昨季、巨人は阪神を相手に6勝18敗1分けと歴史的な惨敗を喫しました。そんなアレルギーのある相手に力投を見せたのですから、真の意味での絶対的エースに上り詰めたと言っても良いでしょう」 すると、ある疑問が浮かんできます。 なぜ、ここまでの投手がドラフト6位まで「売れ残って」いたのか――。 前述のデスクは言います。 「戸郷投手は決してドラフトの“隠し玉”だったわけではありません。聖心ウルスラ学園のエースとして2年生の夏、甲子園のマウンドにも立っています。野球ファンの度肝を抜いたのが、戸郷投手が同校3年の夏、サンマリンスタジアム宮崎で行われた、U18アジア野球選手権に出場する高校日本代表の壮行試合です」 この試合で戸郷は宮崎県高校選抜の一員として、2番手で登板。最速149キロとスライダーで勝負し、5回1/3を5安打2失点、9奪三振と日本代表の強打者を翻弄。テレビで観戦していた野球ファンが「なぜ戸郷を日本代表に選ばないんだ?」と疑問に思ったのも、不思議ではなかったのです。 それでは何故、ここまでの投手が上位で指名されることがなかったのでしょうか。 パ・リーグのスカウトは悔しげにこう振り返ります。 「力があるのは十分わかっていたんですが、投げ方がいわゆる『アーム投げ』で、肩をケガするのではというリスクがあったんです。スカウトにとって、指名した選手がケガで長期離脱することは自身の評価を下げることになり、避けたいもの。しかし、長所よりも欠点に目が行ってしまったのは反省材料です」 5月31日、西武との交流戦(ベルーナドーム)では先発し、7回3安打1失点の好投で5勝目をマーク。球数99とテンポの良さも抜群でした。 プロ入り後は、指名順位なんて関係ありません。6位から日本を代表する右腕へとはい上がった戸郷投手の実力と努力は、もっと評価されてもいいでしょう。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]