プーチン大統領の“実は…”に迫る 遅刻魔、独演会、番記者…意外な素顔も?
2023年12月8日にロシア大統領選挙で通算5回目の出馬を表明したプーチン大統領。24年2月24日にはウクライナ侵攻開始から2年を迎える。中東情勢でニュースへの登場回数は減っているが、良くも悪くも世界の注目度は変わらない。日々のニュースでは紹介できないプーチン大統領の実像の一端を、モスクワからリポートする。 (NNNモスクワ支局 東郷達郎)
■疾走する公用車 プーチン大統領の“出勤”
NNNモスクワ支局が面するクツゾフスキー大通りは時折、騒音が“ピタリ”と止まる瞬間がある。このとき、車は1台も走ってない。やがて空気を切り裂くような音をまとって車列が駆け抜ける。プーチン大統領自慢の国産車「アウルス」だ。郊外にある大統領公邸から、クレムリンへの出勤風景である。
■大使に言い訳…“遅刻魔”プーチン大統領
「厳粛な式典を少し遅らせざるを得なくなったことをご理解いただきたい」。23年12月4日、新任大使21人を迎える式典の冒頭で、プーチン大統領は遅刻の言い訳から始めた。実は、プーチン大統領は“遅刻の常習犯”である。 この日の予定で明らかにされていたのは「ロシア展の視察」と「新任大使との式典」。ロシアメディアは「式典」を中継すべく午後2時前からスタンバイしていたが、大統領の車列がわれわれの支局の前を通ったのが、既に午後2時すぎ。ところがその車列はまず「ロシア展」に向かったため、「新任大使との式典」は大幅な遅刻となった。 このほかにも、予定された演説の開始時間が遅れることはメディアの中では“常識”である。ロシアメディアにすら伝えられないらしいプーチン大統領の「予定」。それが公に批判されることはない。
■プーチン大統領の「予定」は「未定」
こうしたことから、プーチン大統領の「予定」はほぼ分からない。モスクワ支局からは毎週、「来週の予定」を東京に報告するのだが、大イベントでない限り、事前に「プーチン大統領の動き」を知ることはできない。 12月4日もそうだった。夜になって突然、国営タス通信がプーチン大統領のアラブ首長国連邦とサウジアラビアへの外遊を伝えた。しかし、「いつ」がない。もちろん、「時間」などない。通常、プーチン大統領の日程は、ぺスコフ大統領報道官が昼頃の記者会見でロシアメディアなどに対して明らかにする。それでも「決まったら良きタイミングでお知らせします」と述べるばかり。非友好国「日本」のメディアが「大統領の予定」を知る術はない。