なぜクリスタル・パレスは鎌田大地を2年契約で獲得したのか…パリッシュ会長が明かした理由とは?
イングランド・プレミアリーグのクリスタル・パレスは1日、日本代表MF鎌田大地(27)を2年契約で獲得したと発表した。一時はセリエAラツィオ残留が濃厚と見られた鎌田だが、契約解除金を巡って5月末に交渉が決裂。同じタイミングで鎌田へ電話を入れたブンデスリーガ1部アイントラハト・フランクフルト時代の恩師で、今年2月からクリスタル・パレスの指揮を執るオリヴァー・グラスナー監督(49)のラブコールに応え、プレミアリーグに舞台を移しての共闘を決めた。 【決定的瞬間】カタール戦の延長での劇的決勝ゴール
クラブの公式ホームページ上に掲載された英文による鎌田の第一声に、新天地にクリスタル・パレスを選んだ理由が凝縮されていた。 「クリスタル・パレスに加入して、オリヴァーとまた一緒に仕事ができる状況にとても興奮している。プレミアリーグで自分の力を試すのも本当に楽しみだし、クラブと僕が一緒になって、すべての目標を達成したいと願っている」 敬意を込めて「オリヴァー」と呼ぶのは、今年2月からクリスタル・パレスの指揮を執るグラスナー監督。フランクフルトを率いた2021-22シーズンから2年間、司令塔として重用した鎌田を飛躍させ、同シーズンのUEFAヨーロッパリーグを制した恩師と再び共闘するプレミアリーグへ、鎌田は早くも胸を躍らせている。 一度は別々の道を歩んだ。強化方針を巡るクラブ側との意見の相違から、グラスナー監督は2022-23シーズン後に退団。鎌田も計5シーズン在籍したフランクフルトからのステップアップを望み、オフにセリエAの強豪ラツィオへ移籍した。 もっとも、1年契約で加入したラツィオで鎌田は思わぬ苦難に直面した。当時のマウリツィオ・サッリ監督(65)のもとで、昨年9月中旬以降に大幅に出場機会を失い、3年間の自動延長オプションを行使せずに退団する意向を一時は固めた。 一転して今年3月以降は、イゴール・トゥドール新監督(46)のもとで復権。右肩上がりの軌跡を描きながらシーズンを終え、残留する方向で交渉に入った。しかし、移籍解除金の設定を巡って決裂したと、5月末の段階で一斉に報じられた。 ほぼ同じタイミングで、グラスナー監督が鎌田とコンタクトを取った。移籍情報に精通するイタリア人ジャーナリスト、ファブリツィオ・ロマーノ氏(31)は自身のX(旧ツイッター)へ、5月末にこんな文面を投稿していた。 「ラツィオとの契約更新交渉が決裂し、フリーエージェントとなるダイチ・カマダとの契約にクリスタル・パレスが近づいている。オリヴァー・グラスナーは、アイントラハト・フランクフルトでともに働いた彼へ電話を入れている」 グラスナー監督はフランクフルト時代に、鎌田を「ピッチの上で彼ほど知的な選手に出会った経験はない」と称賛していた。鎌田もまた、オーストリア出身の指揮官へ「もちろん素晴らしい監督だけど、人間的にも本当にいい人だと思う」とピッチ内だけでなく、ピッチを離れたところでも厚い信頼を寄せていた。 しかもグラスナー監督は、就任時で6勝7分け12敗の15位だったクリスタル・パレスを、最終的には13勝10分け15敗の10位へ浮上させていた。特に最後の7試合を6勝1分と無敗で終えた先に待つ新シーズンで、鎌田を迎え入れてさらに上を目指したい。恩師からラブコールを送られれば、おのずと答えは決まってくる。