婚姻届は“不受理”だった……熊本の同性カップルの願い 「愛する人と結婚したい」“僕らは家族”と言える日へ『every.特集』
■5地裁で6判決が出た同性婚訴訟
しかし、国は今も同性どうしの結婚を認めていません。こうぞうさんは、「『僕らは家族なんです』と言えるのはとてもまぶしいし、手が届かないものだなとは考えています」と胸の内を明かします。 こうぞうさんとゆうたさんも加わっている、いわゆる同性婚訴訟。これまでに5つの地裁で言い渡されたのは、6つの判決です。 札幌と名古屋では同性どうしの結婚が認められていないことは「憲法違反」と判断。一方、東京の2件と福岡は「憲法に違反する状態」。大阪は憲法違反ではなく「合憲」と、判断が分かれています。
■札幌高裁の判決に 2人は「よかった」
そして、今年の3月14日。全国初の控訴審判決で札幌高裁は、婚姻の自由を保障する憲法は「同性どうしの婚姻も保障している」という初めての判断をしました。 そして、同性婚ができないことは社会生活上の不利益を受けるだけでなく人格が損なわれる事態になっているとして、「憲法に違反している」という判決を言い渡したのです。その判決を聞いた2人は「いいね」「よかった」と声をそろえました。 こうぞうさん 「いままでで一番踏み込んだ判決です」 ゆうたさん 「やったね。そう、当たり前のことなんだけどね」 公益社団法人 Marriage For All Japan によると、世界では3月末時点で、37の国と地域で同性婚が法制化されています。
■2人を見守る店主と語る…大切な居場所
2人にとって大切な居場所が、熊本市内にあります。ゆうたさんが学生時代にアルバイトをしていた「橙書店」です。店主の田尻久子さんは長い間、2人を見守ってきました。 田尻さん 「親戚のおばちゃんみたいなものだと思いますけど…」 ゆうたさん 「いまとなってはね」 田尻さん 「もう22年たっているけど、まだあまり変わってないね。世の中はね」 ゆうたさん 「あの当時に比べたらね」 田尻さん 「亀の歩みではあるけど、前に進んではいる。社会はね」 ゆうたさん 「社会はね。国は、ね…」 亡くなったゆうたさんの母も、一緒にこの店に通っていました。 ゆうたさん 「いま生きている、私の父とこうぞうさんのお母さん。長生きはしてほしいけど、生きているうちに(ふうふに)なりたいよね」 こうぞうさん 「そうね、うん…」 2人の願いは、誰もが愛する人と結婚できる、そんな当たり前の日が来ることです。 (5月22日『news every.』より)