婚姻届は“不受理”だった……熊本の同性カップルの願い 「愛する人と結婚したい」“僕らは家族”と言える日へ『every.特集』
現行法では「結婚は男女だけ」となっている日本。パートナーシップ制度が導入されている熊本市で、人生のパートナーとして一緒に暮らす2人の男性がいます。「愛する人と結婚できる」。そんな“当たり前”を願う2人や支える人たちの、過去と今を追いました。 【動画を見る】同性カップルが願う…誰もが自由に結婚できる社会『every.特集』
■約5年前から同棲し、結婚を意識
熊本市で一緒に暮らす、会社員のこうぞうさん(41)と、ゆうたさん(40)。一生共に生きていこうと決めました。「愛する人と結婚したい」。それが、ささやかな願いです。 22年前。10代後半で出会い、付き合い始めました。進学や就職で別れた時期もありましたが、5年ほど前から一緒に暮らすようになり、自然と結婚を意識するようになったといいます。 こうぞうさん 「特別な感じでは日々過ごしていないけど、自分らしくいまが一番いられるのかな」
■全国で広がるパートナーシップ制度
そして2020年、2人は婚姻届を提出しました。しかし、「男性同士を当事者とする本件婚姻届は、不適法であるため…」とされ、不受理に。婚姻届は、受け取ってもらえませんでした。いまの日本の法制度では、結婚は男女だけのもの。 日本では2015年、東京・渋谷区と世田谷区でパートナーシップ制度が始まりました。公益社団法人 Marriage For All Japan によると、4月1日時点では450を超える自治体が導入しています。 2人も、熊本市の制度を利用しています。市のパートナーシップ宣誓書受領証を手にし、「お互いの名前が載っているのはこれしかないから…」と言うこうぞうさん。しかしこの制度に法的効力はなく、相続や税金の控除など結婚と同じような権利は得られません。
■上司にカミングアウトしたゆうたさん
ゆうたさんは、自分の「普通」と周りの「普通」の間に違和感を抱いていました。職場の上司に「同性パートナーと結婚したい」と打ち明けたときの心の内を、地元の文芸誌『アルテリ』に投稿しています。 「上司にカミングアウトしたとき、彼は私を褒めながら『自分の意志を貫くってことですよね。僕にはできるか分からないな』と言って話を締めた。いえ、そういうことではないんですよとはその場では言えなかった」 「ただ『おめでとう』と言える世界の方が私を含め多くの人にとって住みやすい世界なんじゃないか」