婚姻届は“不受理”だった……熊本の同性カップルの願い 「愛する人と結婚したい」“僕らは家族”と言える日へ『every.特集』
■動物園を楽しみ、並んで歩く2人
ある日、2人は熊本市動植物園にやってきました。動き回るサルを見て、言葉を交わします。 ゆうたさん 「上手ね」 こうぞうさん 「すごいね、しっぽが手みたい」 ゆうたさん 「じゃないと、木の上では暮らせないよね」 こうぞうさん 「運動できないサルはいるかな」 ゆうたさん 「いるよそりゃ」 こうぞうさんは、「(出かけるのは)本当に休みが合ったときに、気が向いたらみたいな感じで。あまり外に出るのが好きじゃないから」と話します。 並んで歩くゆうたさんは「お買い物くらいかね、普段の…」と言葉をつなぎます。こうぞうさんは「日用品のね。特別どこかに行ったり、ウインドーショッピングみたいなのはほとんどないですね」と呼吸を合わせます。
■2人を受け入れた、ゆうたさんの母
ここは、2人にとって思い出の場所です。 こうぞうさんはゾウを見ながら、「ゆうたの亡くなったお母さんがゾウが好きだったから」と言います。 ゆうたさん 「このゾウ」 こうぞうさん 「このゾウだね」 ゆうたさんの母は、5年前に亡くなりました。こうぞうさんとの関係を、20年以上前から受け入れてくれたといいます。こうぞうさんを紹介したとき、「息子がひとり増えた気分」と喜んでくれました。折に触れ、2人の写真を撮ってくれたといいます。 こうぞうさん 「応援の声や味方でいてくれる声がなかったりする中で、僕らの存在をそれだけ受け入れてくれていたんだと、こういう写真を通じて思うと、とてもありがたいし、うれしいですね」
■息子を応援…こうぞうさんの母の思い
こうぞうさんの母(80代)が息子を応援したいと、取材に応じてくれました。ただ、こうぞうさんの「誹謗中傷に遭ってほしくない」という要望で、顔は出さないことになりました。 ゆうたさんと初めて会った時の印象を聞きました。 こうぞうさんの母 「かわいいなと思ったんですよ。2人が幸せなら同性でも何も問題はないと思うんですよね。国で認めてさえくれれば。そうしたら幸せになる人が、もっとたくさん声を上げて出てこられると思うんですよね」 「だからそういう家族の人も、(同性愛者の)子どもを持っても何も恥ずかしがることも卑下することもないから、もっと表に出て応援してもいいなと思うんですけどね」 互いの家族は性別を気にせず、2人を受け入れてくれました。