ひろゆき氏も違和感を抱いた牛角「女性半額問題」のウラで“性別”報道に「ピリつくテレビ局」
「女性のみ割引」は果たして男性差別なのか……。いまだに激論が繰り広げられている。 「2ちゃんねる」の元管理人である“ひろゆき”こと西村博之氏が『Abema Prime』にリモート出演し、焼き肉チェーン『牛角』が9月に開催しているイベントに対して違和感を口にした。 「こんな美女に無理やり」写真あり…スペイン元サッカー会長「女子選手に強引キス」への苦しい言い分 このキャンペーンは食べ放題コースが一定の条件のもと、男性が3938円に対し女性が半額の1969円となる。牛角がこれを発表するやいなや瞬く間に 《なぜ女性のみ?》 《男性差別だ》 などとSNSを中心に炎上した。 牛角側は決して差別する意図はなく 「食べ放題において、女性の注文量は男性に比べ4皿少ない」 というデータに基づき、女性のみを半額にしていると見解を示している。さらにカップルや家族連れなどで女性が半額になることによってトータルでお得になるというのだ。 ひろゆき氏は 「営利企業が利益をあげるために女性を優遇して男性を差別するのをOKだよね、となると、“女性の給料低くていいよね、女性は出世させなくていいよね”だって営利企業の判断だから、ってなっちゃう。だからどんな差別でもなくすべきである」 という見解で、 「アメリカで白人と黒人で、黒人のほうが焼き肉を多く食べます、だから白人優遇です、って言ったら、普通に人種差別じゃないですか」 と例をあげた。 だが同番組に出演していた社会学者の瀬知山角氏は 「焼き肉屋のマーケティング戦略の話。たとえ民事訴訟を起こしたとしても受忍の範囲」 として、ひろゆき氏と白熱の議論を繰り広げた。 確かに昔から「レディースデー」や結婚式の2次会で女性だけ会費が安いなど女性の価格が優遇されることは多い。相席屋などはいまだに女性は完全無料で時間無制限なので牛角の比ではない。しかしこの店は出会いを目的としているので少し性質は違うといえる。 「“いまさらですか”って感じですけどね……」 そう話すのはテレビ局のベテランディレクターだ。5年ほど前からテレビ局は“性差”に関するコンプライアンスが非常に厳しくなったという。そのきっかけとなったのが、関西ローカルで放送されている『ten.』(読売テレビ)での出来事だ。 「’19年に、生放送の番組企画で“あの店の人は女性か男性か”を調査するというものがありました。そのVTRが終わったあと、スタジオのゲストだった作家の若一光司さんが『こんなことが許されていいのか』と激怒。結局、番組は謝罪に追い込まれましたね」 その後、ロケに行っていた芸人はレギュラーをシレッと降板。番組の幹部も複数人が異動させられたという。 「この件は全国のテレビ局に性別報道の意識を変えさせる大きなきっかけになりましたね。今となっては一般人の街頭インタビューを放送する際も性別を表示しなくなりました。なぜなら見た目が曖昧な場合、本人に“あなたの性別は?”と聞かなければならないからです。性自認が違う場合、その質問は相手を深く傷つける。牛角さんは性別がどちらか曖昧な人が来店した場合、スタッフが “本当にあなたは女性ですか?”と聞くのでしょうか? そんなことは許されない。だからこのキャンペーンは時代遅れと言われても仕方ないでしょうね」(同・テレビ局ディレクター) しかし一方でXでは性自認が女性の男性が女装して牛角に来店すると“半額になった”と写真付きで報告している。牛角も厳密に男女で分けているわけではなく、予約時の自己申告制のようだ。 議論は白熱しているが、一つ言えるのはこれほどの宣伝効果はないということだろう。結局、牛角の“作戦勝ち”ということか――。
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