東京ストリート名物こってり「カミヤ」味 俺流貫き売り上げ200%増量
アゲハ蝶と松、フジの花で彩った和柄のアロハや、カモフラージュ、太ピッチのボーダー、ライダースのだまし絵などインパクトのある柄が、“チャラい”抜けの要素として機能し、チーム「カミヤ」にストーリー性を与えた。世間の価値観をひっくり返すような、あっと驚くスタイルがあるわけではない。あくまでリアルクローズをベースに、単品の強さを磨き抜いて、男らしさ、職人の加工技術を増し増しで強さを練り上げ、そこに神谷康司らしい真っ直ぐな明るさ、つまり“チャラさ”を注入して、親しみやすさと憧れを作り出す。ブランド始動から4シーズン目を迎え、「カミヤ」らしさを完全につかみつつある印象だ。
フィナーレには、デコトラが登場するサプライズも披露した。“チャラい”を体現するトラックのフロントには、“裏街道”“反抗期”の文字が刻まれている。「協力してくれたデコトラのもともとの装飾だけど、『もらった』と思った」と、神谷デザイナーは笑う。「初めてのショーでは車が壁を突き破り、次は渋谷の通りをジャックした。わざわざ秋葉原まで来てもらうのだから、普通のショーだけやったらつまらない」。ショー前のリハーサルでは、トラックが駐車する位置を何度も何度も調整していた。
未熟者だからこその強み
自分が信じた“かっこいい”を貫くスタンスはビジネスにも好影響で、売上高は前年比200%近くに伸長。特にニットとスニーカーは完売が続くほど人気で、韓国での知名度も広がっているという。ショー後の取材で質問がビジネスに及ぶと、“チャラい”視線をわざわざこちらに送りながら「それが、実はすごい増えて」と笑みがこぼれ、祝福と嫉妬の気持ちが同時に込み上げてくる。ただ、好調とはいえ「カミヤ」はまだ未熟者であることと、未熟者であるがゆえの強みを理解している。これからも熱い気持ちと謙虚な姿勢で、さらに“かっこいい”ブランドへと成長していくだろう。たっぷりのサービス精神と、愛すべき“チャラさ”と共に。