入山章栄氏が就活生に指南する、これから40年間「ときめいてワクワクする」仕事と会社の選び方
働くことと遊ぶことの境界線がほぼない。これからそういう人が増えてくるはずです。ベンチャーキャピタリストの伊藤穰一さんは著書で、「人は「『働く』『遊ぶ』『学ぶ』の三つの円が重なるところにいるのが最高の状態だ」という内容のことを書かれていて、まさにそうだなと共感しています。 私にはこれといった趣味はないのですが、今まさに最高の状態にいます。大学院で経営学を教えたり、いろいろな会社の社外取締役をやったり、本を書いたりしている今の自分は、働いている気がしていない。ほぼ遊んでいる感覚。まさに仕事と遊びと学びが重なっているのです。 これからは、仕事はつらい思いをして一生懸命やるものという認識を持たなくていいと思う。遊びながら、学びながら、仕事をする時代になります。 ● 売り手市場だから、嫌な仕事は辞める ――そうなれば素晴らしいですが、現実はもっと厳しくないですか。会社に入れば嫌な仕事もしなくてはいけないのではありませんか。 嫌な仕事を続ける必要なんてないのです。合わなければ辞めればいい。少子高齢化の人口動態での人手不足、それに伴う労働者の売り手市場は今後ずっと続くから、「会社に入れてもらう」「雇ってもらう」という感覚がなくなっていきます。 率直に言えば、1社目どこに就職するかなんて大事なことではない。大切なのは、自分に素直になって、ときめいてワクワクする会社を選ぶことです。100年働くわけですから、そうしないと心がもたない。 ――ときめいてワクワクする会社。どう見つけたらいいですか。 自分の気分が上がるかどうかで選ぶのがいい。そして、なるべく人気がない業種に行きましょう。 個人として生きていく際に重要なのは差別化です。他人と同じことをしていたらマーケット価値は上がらない。人のマーケット価値というのは、スキルの掛け合わせです。レアな経験をたくさん積んだ人が最も価値を持つ。 経営コンサルタントで経営者の冨山和彦さん(IGPIグループ会長)は、東京大学を卒業してボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社しましたが、当時は誰もBCGなんて知らなくて、「注射の会社?」って聞かれたそうです。そのくらい当時としてはマイナーな会社を選んで就職した。 でも逆に今、BCGやマッキンゼーに入りたいというような人はどうなのかなと思ってしまいます。ブランド化し、そこに入ることが目的化しているから、優秀で真面目で受け答えがいい人の集まりになっている。 財閥系の大手総合商社などもダメ。かつて確保した権益で好業績ですが、人が育つ事業がない。ときめくような仕事はできないですよ。