中国経済「本当の苦境」が日本企業の厳しい決算からわかった…「トランプ時代」到来でさらなるダメージも
自動車大手が苦戦する「中国市場」、本当の温度感
トランプ氏の予想を超えた圧勝でアメリカの大統領選は終わったが、氏が選挙戦を通じ語っていた政策に対する期待(またもしかしたら氏自身の強烈な個性に対する期待)から米国の株式市場は、最高値を更新し、トランプラリーの様相を呈している。 【写真】習近平が招いた?中国「100年に一度の大洪水」 翻って我が国の日経平均は10月15日の場中に、なんとか7月の日銀ショックから回復し、一度4万円台に戻したものの、結局、原稿執筆時(11月12日)現在、4万円の壁を抜けきれず、保ち合いに入っている。 その大きな要因として挙げられるのが、円安を受け日経平均4万円台乗せの大きな材料として期待されていた足元の日本企業の企業業績(3月期決算の第2四半期、12月決算の第3四半期決算)の不振だ。そこでは逆に多くの企業で、当初のアナリスト予想を下回った数字が10月下旬から発表されている。 もちろん、個々の企業においてその理由は異なるものになるので、要因を一括りにはできないが、共通する減益の要素に「中国経済の問題」があるのは見逃せない。 例えば図1はホンダが11月6日に開催した2025年3月期第2四半期の決算説明会資料からの抜粋になるが、四輪実績を見れば、日本や米国がそれなりには堅調なのに対し、中国はこの第2四半期累計で前年比62.4%、純粋に第2四半期のみを見れば前年比57.1%と落ち込んでいる。 この傾向はトヨタも日産も同じようなもので、我が国自動車大手は昨年あたりから言われているように中国市場で苦戦している。 もちろん、その背景には、中国におけるEV化の進展(特に新車販売における)があるが、各社の説明会での質疑応答録や動画などを追えば、それだけではない想定を超えた落ち込み、景気そのものの一段の冷え込み、が起きているのではないか、と思わせるものが行間や実際の応答に、やりとりに滲んでいる。 その意味では、EV化などの理由が見当たらない別の業界における中国事業の現在を観察することが必要だろう。中国の公式的な発表では、2024年7月~9月期の実質GDPの成長率は前年同期比で+4.6%、4月~6月期のそれは+4.7%になっている。これはこれまでの成長に比べれば大きな減速を感じさせる数字ではあるし、政府目標にも達していない数字だ。しかし、他国比較からすれば、十分な成長と言える数字になる。 だが、本当にそれは信頼に足る数字なのだろうか。