妻が「一家の大黒柱」になって気づいた、「男のズルい行動」の本質
漫画家・田房永子さんの新刊『女40代はおそろしい 夫より稼いでたら、家に居場所がなくなりました』は、家事育児よりも仕事に邁進してきた、夫より年収のある3人の女性たちがコロナ禍に「40代の壁」にぶち当たる様を描いた、“中年危機サバイバル漫画”だ。 【漫画を読む】「男のズルい行動」を自分もしていた…!夫を養う妻の気づき 本作では、一家の大黒柱となった妻が世間一般でいうところの「夫」化し、夫も「妻」化していくことに戸惑いを覚える女性たちの状況も描かれている。 2012年に1人目の子を産んだときは保育園に入れられず、ワンオペ状態で子育てに奔走していた田房さん。2017年に2人目の子を産んだあと、1人目のときに仕事をセーブしていた反動からバリバリ働くようになった。すると、自分が「家事育児を妻にまかせっぱなしにする夫」ムーブをしていることに気づいたという。 本作にあるコラムから、このときのエピソードを抜粋、再構成してお届けする。 ※以下、田房さんによるコラム。
「脳自体に男女差がある」説に腹が立っていた
今から12年ほど前、私が1人目の子を産んだ頃、脳科学的な「脳自体に男女差がある」説が流行っていました。私はこれに猛烈に腹が立ってました。 「男脳と女脳があるから、産後はこんなすれ違いが起こりがちです」という脳科学的な説ののん気さにムカついて仕方なかったのです。すれ違いが起こる原因が「脳の違い」って言われても、じゃあどうしたらいいんだ我慢しろってか、というムカつきです。 女性ホルモンと男性ホルモンは違う説にも同じようにイラついていました。 脳やホルモンの差があるからなんなんだ? 目の前に赤ちゃんがいて超大変、って事実は変わらないんだが? 「男は赤ちゃんが生まれても何していいか分かんないから犬をしつけるように優しく教えてあげましょう」という言説も育児雑誌に載っていた時期です。ブチギレです。 女も赤ちゃんを目の前になんも分かんねえわ! 鹿とかは生まれた瞬間に赤ちゃんが包まれてる膜みたいなの舐めて綺麗にするのとか本能で知ってるみたいだけど、人間の女はなんにも知りませんからぁ! 男と同じでどうやって抱っこするかも最初はワケわかめですからぁ! 「男は分かりましぇん」って言える余裕を社会が男に与えてるだけですからぁ! 脳の違いよりも、そういう社会の慣例のほうがすれ違いを起こしてるだけじゃないですかぁ? そっち無視して脳の話にすり替えないでくださいますかぁ? 政治を変えてもらえますぅ? まずは政治家の脳を科学的に分析してもらえませんかねぇ!? と、目玉に血管浮かせて思っていました。