「既成政党はインチキで守られている!」 百田尚樹氏が怒る「不平等過ぎる選挙ルール」
共産党はマトモですか?
――でも、ある種の「売名目的」の立候補を防ぐという意味もあるんじゃないでしょうか。無茶苦茶な政党がどんどん現れて、それらを普通の政党と平等に扱うのは無理があるのでは? 泡沫政党が乱立するのは国民にとっても望ましくないでしょう。 泡沫政党の主張がおかしくて、既成政党の主張のほうがマトモという根拠はどこにあるんですか。誰がどう優劣をつけるの? 共産党の言っていることってそんなにマトモなんですかね?
――そ、それは……。そういえば、新著『狂った世界』の「まえがき」には次のような文章がありますね。 「日本の社会全体が少しずつ『狂いつつある』感じがします。長い間、私たちが培ってきた良識や常識が音を立てて崩れていっている気がします」 「保守」として良識や常識の立て直しに挑んでいく、ということなんでしょうか。 そういう考えもありますが、真面目に政策の話をすれば、日本を守りたい、豊かにしたいという気持ちが強いんです。政治に関しては特に経済面での失策のツケは重い。 30年間、真面目に働いている人の給料が上がらない、それどころか中間層の可処分所得が減っているというのはおかしいでしょう。こんなの江戸時代なら一揆が起きていますよ。 敗戦でどん底にまで落ち込んだ日本がたった20年でアメリカに次ぐ経済大国になったのに、この30年間は何も上がっていない。 まずは減税を実現して、それによって経済を上向かせるのが先決だと考えています。減税すると減収になる、結果として将来不安が増すなどとよく言われますが、名古屋市長時代の河村たかしさん(現・日本保守党衆議院議員)は減税を実施して、実際に経済を上向かせて、減収分を取り返していますよ。 ――国政政党の代表になって変わったことはありますか? 相変わらず敵ばっかりですね。それは変わらない。 選挙中は、同じように保守をうたっている党からも攻撃されました。参政党の党首は、「日本保守党は自民党が参政党をつぶすためにつくった」とかデタラメを言っていたそうです。そんなわけない。 日本保守党という政治団体をつくっても、私自身にとっては、いいことは何もないですよ。仕事は減る。収入は減る。一方、金はいる。プライバシーがなくなる。自由に発言できない。こんなもの早く辞めたいですよ。でも、政党にはしないと格好がつかない。そう考えてがんばってきたんです。 結果として、先日の衆院選で得票数の2%を獲得して、結党からたった1年で国政政党としての政党要件を満たせたのは、われながらよくやったと思っています。 個人の損得でいえばやらないほうが得でしょう。得することは一つもない。ひどかったのはある担当編集者に「日本保守党に投票した?」と聞いたら、「してません!」とハッキリ答えたことやね。 「小説を書いてほしいんで」とか言っていましたが。 ――このまま作家に戻らず、政党の代表をやり続けるんですか。 誰か後継者を育てるまではやらなければ、と考えています。それが終わったら、家で本と音楽三昧の生活を静かにしたいと本気で思っていますよ。 *** 百田氏が語る2025年の展望、トランプ大統領への期待については、前編(「韓国とは断交でもいい」 百田尚樹氏が語る「トランプ期待論」と2025年の展望)に詳しい。
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