猫を“ひき逃げ”、動揺して何もできなかったドライバーの後悔 どう対処すればよかった?
車で猫をひいてしまった動揺でその場から離れてしまいましたが、警察に連絡するべきでしょうか──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。 相談者が深夜23時頃に車で走行していた際、突然脇道から猫が飛び出してきたそうです。猫を避けることができずひいてしまいましたが、初めての経験で動揺し、その場から離れてしまいました。 10分後に現場へ戻りましたが、遺体は道路の側面に寄せられており、翌日には遺体は片づけられていたといいます。 猫が飼い猫か野良猫かは不明で、事故からすでに一定期間経過していますが、相談者は警察に連絡するべきかどうかを悩んでいるようです。 車でひいた猫を放置した場合、何か法的責任を問われるのでしょうか。坂口靖弁護士に聞きました。
●刑事責任を問われる可能性もあり得る
――猫をひいた場合、どのような法的問題があり得ますか。 猫は法律上は「物」となりますので、猫をひいてしまった場合、物損事故と評価される可能性があります。 この場合、自動車のドライバーには、物損事故としての警察への事故の発生の報告義務と事故の影響による危険防止措置義務(道路交通法72条1項、後続車両等の事故発生につながらないような措置をとること。たとえば、猫の死体を隅っこに寄せる等)が課せられる可能性があります。 さらに、動物愛護法は、死傷した猫を発見した場合には、その動物の所有者か都道府県知事等に通報するべき努力義務を定めています(36条)。 ――これらの義務を怠った場合、刑罰を受けるのでしょうか。 危険防止措置を採らなかった場合には、「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」に処せられる可能性があります(道交法117条の5第1号)。また、警察への報告義務を怠った場合には、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」に処せられる可能性があります(道交法119条17号)。 なお、動物愛護法による通報義務は努力義務ということもあり、罰則はありません。