中西希亜良インタビュー 台本なしで演技に挑んだ映画初出演作『ぼくのお日さま』
第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品作品となった奥山大史監督のオリジナル脚本にして商業デビュー作品『ぼくのお日さま』 。 雪の降る街を舞台に、すこしばかり吃音のあるアイスホッケーが苦手な少年のタクヤと、フュギュアスケートを学ぶ少女さくら、そして元フィギュアスケート選手でさくらのコーチ荒川の3人の視点で紡がれる物語。 コーチ役には池松壮亮、まだあどけなさが残る2人はオーディションで役を勝ち取った越山敬達と中西希亜良。3人とも実際にスケートを披露、特に光の反射で輝くスケートリンクで【さくら】がドビュッシー「月の光」の曲に合わせて踊る姿には見惚れてしまいます。今回は映画デビュー作で大役を掴んだ中西希亜良さんに撮影時の思い出や、俳優業への興味を伺いました。 ・・・ ――「演技をするのが楽しかった」とお話されていましたが撮影はいかがでしたか。 撮影自体が楽しかったです。それに、自分っぽいのに自分ではない人物【さくら】を演じることがいい感じにミックスされて、難しかったは難しかったんですが、自分ではない人物として世界を見るのが楽しかったです。奥山大史監督が「こういう感じに演じた方がいいよ」「このシーンはこのシーンの後だからこういう感じだよ」など丁寧に説明もして下さったので演技中は、本当に自然な感じで違う視点から世界を見ていました。 ――私も何度か自分のような役の演技の経験がありますが、中西さんも【さくら】というキャラクターもフィギュアスケートをしているという共通点はあっても、内面部分は違うわけで、その部分をどのように考えながら台詞を覚え、演じられていかれたのですか。 実は台本を頂いていないんです(笑)。 ――え! 台詞は当日、そのシーンを撮影する直前に奥山監督から「この台詞を言うんだよ」と教えてもらっていました。それで撮影を行って調整する感じでした。【さくら】には長い台詞が多くなかったので、本当に自分が出す雰囲気によって変わるなと思いました。台詞をじっくり覚えるというよりはコツを掴むって感じでした(笑)。 ――奥山監督から【さくら】の性格についての説明はありましたか。 奥山監督からは「【さくら】は結構無口で、めちゃくちゃ仲の良い友達は特に居ない。そんなに話をしないけれど自分の中では色々と考えている人見知りな性格」と教えて頂きました。【さくら】と私は意外と似ていると思っていました。 ――そうなんですか。人見知りなところも? はい、私はめちゃくちゃ人見知りです。でも、このお仕事を始めてからどんどん人見知りの部分が改善されてきているような気はしています。最初は本当に何も言えなくて‥‥。 ――越山敬達さん演じる【タクヤ】とアイスダンスをするシーンや池松壮亮さん演じるコーチの【荒川】とのシーンもあります。共演者とは、どのようにコミュニケーションをとり、仲良くなっていかれたのですか。 初日に雪が降っていたので、外で越山君と雪遊びをしたんです。それがきっかけで仲良くなった感じです。私はその日撮影がなくて、撮影現場(小学校)がどんな感じなのかを知りたくて見に行ったのですが、越山君が雪遊びをしたいと言い、流れで遊ぶことになって、それで雪まみれになってしまったんです。その後、越山君はヘアメイクさんと衣装さんに怒られてしまいました(笑)。 ――その場に池松壮亮さんもいらしたのですか。 その日は来ていなかったです。池松さんが来られた日からもっと仲良くなりました。池松さんは本当に明るくて、すぐに話しかけてくれて、それで安心してより仲良くなれました。 ――撮影は楽しかったことが多かったのですね。 はい。