中西希亜良インタビュー 台本なしで演技に挑んだ映画初出演作『ぼくのお日さま』
完成した作品を観て‥‥
――撮影中にわかった自分の意外な部分とかあれば教えて下さい。 撮影時は、多くの大人の人達に囲まれていることに慣れない自分が居て、自分が思う以上に緊張していることに自分自身がビックリしました。友達とだったらグイグイとたくさんお喋りをするのに、まったく喋れなかったので“何でだろう?”と思っていました。でも取材もあったりでやっと慣れてきたという感じです。 ――出来上がった作品を観てどう思いましたか。 どんなふうに映っているのか、撮影中はわからなかったので、映画を観て“こういう感じに撮影されていたんだ”と思いました。台本も読んでいないので、自分は入っていないシーンはまったく知らない状況だったので “こういうシーンがあったんだ”とも思いました。それから“本当にこれ私?”と最初思ってエンドロールで私の名前が出て来て、1回、キャッてなって本当に自分が演じていたんだと思っていました(笑)。 ――それぐらい自分ではない、別人と感じたのですね。池松壮亮さんとお仕事をされて勉強になった部分を教えて下さい。 全部です!撮影中の話になりますが、初めてお会いするのに凄く仲良く、明るく話して下さって“プロって凄いな”って思ったんです。池松さんからカメラ目線になってしまうところをカメラ目線にしないように、外す方法などアドバイスも頂いたんです。「カメラを気にしていたら演技は出来ない」と言われました。奥山監督にも池松さんにもカメラ目線を注意されたので“これは直さないといけない”と思って、自分の中で「カメラ以外なら何でも見ていい。カメラを見たら罰ゲーム」みたいな感じに決めて、カメラを見ないように訓練したりもしました。 ――これからも演技をやりたいですか。 はい、やりたいです! ・・・ まだ13歳の少女、中西希亜良さん。お父さんがフランス人なので、もともとフランス語も話せた上で、まさかのカンヌ国際映画祭への出席、フランス語での堂々たるスピーチで会場を沸かせた期待の新星は、小さい頃から好きなスケートから演技の道に入るという異例のスクリーンデビューを飾りました。英語とフランス語が話せるだけでなく、大好きなK-POPの影響で自ら韓国語も勉強している彼女の可能性は無限大。映画では、年相応の無邪気な笑みと、時折見せる大人びた表情のギャップが魅力的で目が離せないほどでした。いったい、次はどんな驚きを私たちにプレゼントしてくれるのか。楽しみでならないのですよ。
取材・文 / 伊藤さとり(映画パーソナリティ)