M4搭載の最新「Mac mini」「iMac」「MacBook Pro」をさっそく体験
ロサンゼルスのにぎやかな一角で、Appleが発表したばかりの新型「Mac mini」「iMac」「MacBook Pro」を試してきた。いずれもAppleの最新プロセッサー「M4」を搭載し、同社独自の人工知能(AI)機能「Apple Intelligence」を利用できる。 【画像】新旧のMac miniはこんなに違う デスクトップかノートPCかを問わず、どのモデルもさまざまな形で前世代からアップデートされている。例えばMacBook Proには「Thunderbolt 5」ポートが追加され、Mac miniはさらに小さくなった。しかし最大の変化は、最新の純正チップM4が全モデルに導入されたことだろう。これにより、AI機能の実行を含めて、できることが増え、ゲーム性能も強化された。筆者はロサンゼルスにあるAppleのショールームを訪れ、楽曲制作や動画編集、ゲームなどのデモを通じて、一部の新モデルとその驚くべき性能を体験してきた。 注:今回のデモでは、ベンチマークテストを実行したり、Appleが用意したデモ以上のことを試したりすることはできなかった。 M4搭載iMacは美しいパステルカラーに いつも凝った色名をひねりだすAppleにしてはめずらしく、新型iMacの色名は驚くほどシンプルだ。色とりどりのM4搭載iMacがずらりと並んだ様は壮観で、思わず目を奪われてしまった。色はブルー、パープル、ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、シルバーが用意されており、いずれもさりげないツートンカラーになっている。ディスプレイの背面はやや濃いめの色調だが、メタリックなスタンドとディスプレイ下のフロントパネルは、同じ色でも、やや淡いトーンになっている。 新しいiMacのデザインはこれまで以上に魅力的だ。厚みは2023年発売のM3搭載モデルと変わらない。新しい点は、Thunderbolt 4/USB-Cポート(下位モデルは2つ、上位モデルは4つ)、センターフレームに対応したシャープな1200万画素カメラが搭載されたことだ。ディスプレイは映り込みを抑えるNano-textureガラスも選択できる。オフィスなどで照明の映り込みに悩んでいる人にはうってつけのオプションだ。 新搭載の「デスクビュー」も試してみた。これはiMacのディスプレイの下にある、実際のデスクの様子を表示する機能だ。手品の仕掛けのようだが、手芸やクラフト系のストリーマーや、数式を手書きで書いて「Zoom」で教える講師にとっては重宝する機能かもしれない。 小さくかわいいがパワフルなMac mini 筆者は小さいガジェットが大好物なので、新しいMac miniには性能だけでなく、見た目の点でも惹かれた。縦折り型折りたたみスマートフォンと同様に、全体のサイズを小さくするために、やや厚みが増しているが、これはやむをえない妥協だろう。親切にも、デモ会場には新旧のMac miniが並べて置かれていた。旧型Mac miniも十分に小さいが、新型Mac miniにいたっては文字通り、手のひらサイズだ。ついにM4搭載コンピューターがハンドバッグに入る時代が来た。 案の定、電源ボタンを底面に移動させたことは不評を買っているが、この小ささなら、軽く持ち上げて電源を入れるのも造作ない(最近はコンピューターの電源を切らず、入れっぱなしの人も多いかもしれない)。背面には40GB/sの高速データ転送が可能なThunderbolt 4ポート(M4 Pro搭載モデルではThunderbolt 5)が搭載され、前面にはThunderboltほどのパワーを必要としないアクセサリー用にUSB-Cポートが追加された。このほか、前面には3.5mmのヘッドフォンジャック、背面にはHDMIとイーサネットポートも搭載され、一通り必要なものはそろっている印象だ。 Mac miniを使ったデモでは、オーディオ編集ソフトのLogicを立ち上げ、AI作曲機能を使ってAIが作った曲を動画に追加する様子を見せてもらった。ドラム、ベース、キーボードなど、さまざまな要素を何層にも重ねながら曲を作っていく。どの楽器も細かい調整が可能で、音楽理論の知識は必要ない。 筆者が見たデモでは、アイコンをいくつかタップするだけでキックドラムとハイハットシンバルが追加され、曲に厚みが加わった(デモでは主要なビートの随所に多彩なドラムを追加していた)。メロディーをかなでる楽器は音階を上下させることができ、ピアノのキーボードは片方または両方の「手」を選択して、高音域、低音域、または両方のコードを曲に追加できる。すべての音はAIが瞬時に生成し、できた楽曲は著作権フリーで使用可能だ。 MacBook Proは強化版Siriやゲームの真価を発揮 新しいM4搭載MacBook Proは、レイアウトやデザインの面では2023年に発売されたM3搭載モデルと変わらないが、下位モデル(14インチ)ではUSB-Cポートが2つから3つに増え、「M4 Pro」または「M4 Max」を搭載した上位モデルには、最大120GB/sのデータ転送速度を誇るThunderbolt 5ポートが3つ搭載された。 最上位モデル(M4 Maxチップと128GBのRAMを搭載した16インチモデル)を使ったデモでは、担当者がAI搭載SiriにPDFの結合方法をたずねるなど、いくつかのタスクを与えた。ChatGPTと提携したことで、Siriは「マリブの楽しみ方を教えて」といった複雑な質問にも答えられるようになった。どちらの場合も、Siriが回答に要した時間はわずか2、3秒だ。これは、近くのテーブルにあったiMacが同じタスクを実行するのに要した時間とほとんど変わらない。MacBook ProがAIで写真を漫画風に加工するために要した時間も、やはり2、3秒だった。この機能は、2024年前半にリリースされたMicrosoftの「Copilot+PC」のデモで紹介された画像生成機能に近い。 デモで披露されたM4チップの性能として、最も印象的だったのはRemedy Entertainmentが2019年にリリースした三人称視点のシューティングゲーム「Control」のプレイ映像だ。AppleがM4のレイトレーシング機能をアピールするために選んだのは、薄暗い洞窟がまばゆい光で照らされる場面だった。ぬかるみの中を進みながら敵を撃つと、周りの景色が鮮やかに浮かび上がる。もちろん、これはM4 Maxチップと128GBのRAMを搭載したフルスペックのMacBook Proだからこそ可能になった表現だ。もっと下位の構成のモデルで、こうした負荷の大きいグラフィックがどう処理されるかは未知数だ。 総じて言えば、ロサンゼルスで行われたデモは時間も短く、内容もかなり管理されたものだったが、Appleの最新のコンピューターの性能を垣間見ることができた。魅力的なデザインを備えたものもあれば、控えめなアップグレードとなったものもあるが、どのモデルもAI機能を処理できるだけの高い性能を約束していた。ただし、AppleのAIツールがどれだけ必須のものとなるかは、Apple Intelligenceが本格的に展開され、ソフトウェア各社が次世代の製品に統合するまでは分からない。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。