発祥の地に新たな風 新旧ピッツェリアの競演 100年の歴史を誇るレジェンド店
ナポリの人々にとってのソウルフードであるピッツァの店に、ここ数年変化が起きている。歴史ある老舗に加え若手職人が頭角を現し、新旧の魅力が百花繚乱。ピッツァ王国はますます面白くなっていた。 【画像】ナポリの伝統的なピッツェリアをすべて見る 2回に渡り新旧それぞれ3軒ご紹介。
程よい弾力と滑らかさが共存、最高レベルの伝統的ピッツァ
◆Pizzeria Starita(ピッツェリア・スタリータ) パチパチと薪が火で弾ける音とともに焼き上がるピッツァは縁がふっくらと立ち上がった伝統的なナポリスタイル。 薪火だからこそ生まれる焼きの香り、弾力がありながらシルクのような滑らかな口当たりは惚れ惚れする美味しさだ。 天然酵母を使った生地は前日から約15時間発酵させ、赤子を育てるように一つひとつ愛情を込めて作っているという。 1901年創業の「ピッツェリア・スタリータ」の看板メニューとなるのが2種のトマトを使った“マリナーラ・スタリータ”と一度揚げた後に薪で焼く“モンタナーラ・スタリータ”。 どちらも2代目のアントニオ・スタリータ氏が母から教わったレシピで、息子のジュゼッペ氏へと受け継がれている。 「大事にしているのは、同じクオリティのものを毎日お客さんに提供すること。“継続と情熱”を続けることが私たちの役目です」とアントニオ氏。 これを日々実現するのは簡単なことではないが、家族とスタッフたちが労を惜しまず一丸となり、今日も訪れる人々を笑顔にしている。 Pizzeria Starita(ピッツェリア・スタリータ) 所在地 Via Materdei 27/28, Napoli 電話番号 081 5573682 営業時間 12:00~15:30、19:00~23:30 定休日 月曜 ※予約不可
世界大戦を乗り越え、今も伝統製法を守り続ける
◆Ristorante Pizzeria Gorizia(リストランテ·ピッツェリア·ゴリッツィア) 1916年8月、第一次世界大戦の渦中に現オーナー・サルヴァトーレ・グラッソ氏の祖父が、ピッツェリアを開業。 当時はシンプルな具材のものを数種類だけ提供し、時代とともに素材のヴァリエーションを変えながら伝統的製法を守り続けている。 約18時間発酵させ高温の薪窯で手早く焼き上げた生地は、弾力感がしっかりあり嚙めば嚙むほど豊かな風味が広がる。 そんな力強い生地に負けないよう、程よい酸味のトマトソースが絶妙なバランスとなり、これぞナポリの王道という味わい。 ピッツァ以外にも前菜やパスタ、ドルチェなども楽しめるのでディナーにゆっくり過ごすのもいい。 店がある丘の上のヴォメロ地区には創業当時ピッツェリアは1軒しかなく、ナポリの著名な俳優のトトも仕事帰りに食べに来ていたそう。 町の歴史を見続けてきた名店は、今も変わらずに温かなホスピタリティで迎えてくれる。 Ristorante Pizzeria Gorizia(リストランテ·ピッツェリア·ゴリッツィア) 所在地 Via Bernini 29/31, Napoli 電話番号 081 5782248 営業時間 12:30~16:30、19:30~24:00 定休日 無休