国内最高齢男性が大正生まれとなり話題に 明治生まれは無料の「博物館明治村」
日本各地の明治時代の遺構を保存、展示する愛知県犬山市の「博物館明治村」が家族連れなどでにぎわいを見せている。5月17日には累計の“来村者”が5千万人に達した。男性の国内最高齢が大正生まれになったことで交流サイト(SNS)で注目され、湯田晃久所長は「明治は遠くなりつつあるが、今の暮らしのルーツになった時代。当時の生活をぜひ味わってほしい」と話す。(共同通信=平井森人) 明治村は1965年に開業。帝国ホテル中央玄関(東京)や前橋監獄(群馬)の雑居房をはじめ、60点以上の建造物が並び、三重県庁舎など建物11点と、工作機械など産業遺産3点が国の重要文化財に指定されている。 「本物」にこだわり、建築物は国内外を問わず元の所在地から移築したものばかりだ。1874(明治7)年にイギリスから輸入された蒸気機関車(SL)も移動手段として活躍。村内を散策しながらヒントを得て、明治時代を学ぶことができる謎解きゲームが人気を博している。
明治村は明治生まれの来村を無料にしている。男性の国内最高齢だった1911(明治44)年生まれの千葉県の男性=当時(112)=が3月下旬に亡くなり、神奈川県の1913(大正2)年生まれの男性(110)が新たな最高齢になったと4月に報じられると「無料来村できる男性がもういないのでは」と一時話題になった。 国内最高齢は1908(明治41)年に生まれた兵庫県の女性(116)だが、国勢調査を担当する総務省によると、明治生まれの人口は集計していないので分からないという。 明治村によると、2014年の1人を最後に約10年間、明治生まれの人が入村した記録はない。湯田所長は「もし来村いただける方がいれば、当時の生活や思い出話をうかがいたい」と話す。 5月下旬の土曜日、夫婦で訪れた岐阜県多治見市の会社員河村利隆さん(66)はSLの乗車を楽しみ、「ゆっくり進む昔ながらの乗り心地が良かった。歴史ある建物の維持にはお金がかかると思うが、ぜひ今後も続けてほしい」と笑顔だった。