「AirPods 4」を買うべき人は? AirPods Proや既存インナーイヤー型イヤフォンと比較しながら考えた
Appleの完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods」の新モデル「AirPods 4」が2024年9月に発売された。価格は通常モデルが2万1800円(税込み、以下同)、アクティブノイズキャンセリング搭載モデルが2万9800円。 【画像】AirPods 4とAirPods Pro 2の外観比較 本機種はイヤーピースを用いないインナーイヤー型ながら、アクティブノイズキャンセリングに対応するANC版も用意する。筆者も発売してからすぐに購入したので、実際に使ってみた感想を競合製品と踏まえてレビューしてみることにする。
しっかりと低音が出ており、「耳をふさがないノイキャン」に驚く
AirPods 4(アクティブノイズキャンセリング搭載、以下同)の特徴は、何といってもノイズキャンセリング機能だ。本機種のようなインナーイヤー型のイヤフォンでは、耳とイヤフォン本体を完全に密閉できないため、効果的なノイズキャンセリング機能を付けるのは難しいとされている。 一方、ここ数年でよりフィット感を得られる本体形状や各種ソフトウェア処理の研究が進み、いくつかのメーカーから「インナーイヤー型のノイズキャンセリング機能付きイヤフォン」というカテゴリーの製品が出てくるようになった。それらの製品の中ではAppleは最後発となる。 iPhoneに接続して早速装着してみる。従来よりも小型化したことで耳の中にしっかり収まり、耳から落ちてしまうような感覚は低減されている。アンテナ部分は従来よりも短くなったものの、操作や接続性に際して不便になることはなかった。 音楽を再生してみると、従来機種に比べてしっかりと低音が出ていることが分かる。特に第1世代や第2世代の製品から乗り換えると「低音出ているじゃん」と思わず口にしてしまうほど差を感じた。低域の再生能力は音楽を楽しむ上でかなり重要な要素。ハードウェアはもちろん、ソフトウェア面でもここをしっかりテコ入れしてきたと感じる仕上がりだ。 そして音以上に「ノイズキャンセリング性能」に驚いた。耳を完全に密閉しないインナーイヤー型で、ここまでノイズをかき消せる機種はなく、多くのイヤフォンを聴いてきた筆者にとって初めての体験だ。 インナーイヤー型でノイズキャンセリングに対応したイヤフォンは競合メーカーからも販売されているが、AirPods 4は後発なだけあって、それらをしのぐ性能を持っている。特に低域から中域にかけてのノイズをしっかり低減してくれることもあり、電車やバスの走行音などは「小さくなった」と明確に感じられた。 その一方で、ノイズキャンセリングは閉塞感があり、筆者も後述の「AirPods Pro 2」よりも強い閉塞感を感じた。ノイズキャンセリング機能を持つイヤフォン特有のつまったような閉塞感が苦手な方は、Apple Storeや家電量販店で試聴してみるといいだろう。 AirPods 4はインナーイヤー型という構造上、適度な開放感がある点は魅力だ。装着感の面倒なフィッティングが必要なく、耳道の蒸れなども起きにくい。中耳炎や外耳炎などでカナル型のイヤフォンが利用できない場面でも利用できる。 この特徴を最大限に生かせるのが「外音取り込み」という機能だ。ヒアスルーとも呼ばれるもので、外の音を取り込んでイヤフォンのスピーカーから再生する。完全に密閉しない構造に加えて、Appleの他社と一線を画すレベルの外音取り込み性能の組み合わせは現状最強と評価したい。 音楽をBGM感覚で再生しながら外の音を取り込むことはもちろん、外音の違和感を覚えさせないチューニングには驚かされる。多くの機種では、壁を1枚隔てたような聞こえ方をするのだが、AirPods 4ではイヤフォンを着けていることを感じさせないくらい「通常の音声」のように聞こえるのだ。