〈日銀利上げ〉変動金利を選んだ年収650万円の42歳会社員、マイホームを失う日までのカウントダウン…「実質賃金マイナスで打撃を受けているなか、詰みました」【FPが解説】
変動金利を利用している人の割合
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】」によると、変動金利を利用している人の割合は72.3%。低金利時代が続いたこともあり、圧倒的多数が変動金利を選択しています。 全期間固定金利と比べて変動金利は圧倒的に安いため、住宅営業マンは変動金利の利用を前提として商談していたはずです。毎月の返済額を低く見せることもできたためです。ハウスメーカーではFPを紹介されることがめずらしくありませんが、FPでさえ変動金利の選択を前提としてライフプランを計算していたケースが多いでしょう。 しかし残念ながら「変動金利が上昇したらどうなるのか」というリスクを真剣にシミュレーションしたFPや住宅営業マンは多くありません。それほど変動金利が変動しない時期が長かったということです。 本来、変動金利には教科書的なリスク管理方法が存在します。変動金利型の住宅ローンはいかに早く元金を減らしていくかが勝負です。35年返済であれば、最初の約10年で全期間の利息の半分を払う計算になります。変動金利の低金利で返済をスタートし、元金の返済を早く進めていきます。そしていつか金利が上昇し家計にとって危険水域に達する前に、数百万円単位の一部繰上げ返済を行います。繰上げ返済として入れたお金は元金の返済に充てられるため、金利が上昇したとしても返済額を抑え利息を節約することが可能になります。 そのため、変動金利型の住宅ローンを借りる場合には、「現金での貯金が確実に作れる家計であること」が絶対条件なのです。 本格的なFP相談を行っているハウスメーカーであれば購入時に必ず教えてくれたはずの、リスクヘッジの基本中の基本動作です。貯金が作れない人は、変動金利は選ぶべきではない、全期間固定金利型にすべきとアドバイスされたと思います。繰上げ返済の原資としていくら手元に残しておくべきか精緻なキャッシュフローを作成したのではないでしょう(そんなアドバイスは受けなかったという方は、すぐにほかのFPにセカンドオピニオンを依頼をすることを強くお勧めします)。 特に金利が上昇するときには数百万円単位の繰上げ返済を行い、元金を減らすことが有効な優先すべき手立てです。借換えを行う選択肢もありますが、手数料の負担が大きく、団信の条件も変わってしまうこともあり、優先順位は高くありません。