“令和の怪物”佐々木の故障予防の決勝登板回避に賛否
高校野球の岩手県大会決勝でプロ注目の大船渡・佐々木朗希が登板を回避し、甲子園出場を逃したことが賛否を呼んでいる。佐々木は先発どころか1イニングも投げず、試合は2-12で大谷翔平の母校である花巻東に完敗した。試合後、国保陽平監督は、登板回避理由を「故障を防ぐため」と説明。佐々木もその判断を納得して受け入れたという。だが、決勝戦で「エース・4番」を使わず甲子園出場よりも、大物投手の将来を選択したという国保監督の前代未聞の決断にネット上では賛否両論が噴出している。 まさか……だった。準決勝で完封勝利した後、佐々木は、「次負けたら一回戦で負けたのと同じ」と連投となる決勝戦への意欲を口にしていた。だが、国保監督が先発に起用したのは、今大会初登板となる柴田貴広だった。3回までに4点を失ったが、佐々木はブルペンへも移動しない。6回に4点を失い1-9のワンサイドゲームになった時点で投手交代が告げられたが、それも佐々木ではなく、敗戦の瞬間まで佐々木はベンチにいて声を出していた。 最速163キロを誇る“令和の怪物”の登板回避に故障発生か?と、早朝から行列のできていた場内は騒然となったが、試合後に国保監督が明かした登板回避の理由は「故障防止のため」というもの。 「未来があるので。素晴らしい舞台が決勝戦を勝てば待っているのがわかっていたが、いままでの3年間の中で、一番壊れる可能性が高いかなと思って私には決断できませんでした」 肩、肘の重大な故障発生ではなく、体に張りなどはあったが、投げられない状態ではなかったという。その監督の判断に佐々木は、「高校野球をやっている以上、試合に出たいというのは当然のことなので投げたいという気持ちはありました。監督の判断なので、しょうがないと思います」と慎重に言葉を選んだ。 「チームメイトはすごく頑張ってくれたので誇らしく思います。苦しいことや辛いこともたくさんあったけど、この仲間とだったから乗り越えられたことがあったと思います。大船渡高校を選んでよかったと思います」 ベンチで涙した佐々木は素晴らしいコメントで仲間を称えた。 だが、この前代未聞のエースの決勝戦での登板回避の決断を巡って、ネット上では、賛否両論が噴出。都市対抗の決勝で始球式を務め、たまたまメディアとの接点があった落合博満氏など、野球関係者も続々とコメントを出すような騒動に発展した。 ただ今回の登板回避を巡っての論点はひとつではない。 佐々木の未来か、甲子園かの選択に関する高校野球のあり方を巡っての是非、決勝戦の登板回避の是非ではなく、ここまでの佐々木の起用法に対しての賛否、そして、そもそも、こういう賛否を浴びるような決断を監督に強いらせた地方大会の過密日程の問題に対する議論、こういう議論を行うことそのものが間違っているという意見などに分かれている。それらは、すべてリンクすることだが、一緒くたに論じるのは危険だろう。