東京で一度は食べておきたい独自の道をゆく「変化球カツ丼」の名店3選
●DATA 奏す庵 住:東京都中央区日本橋室町2-1-1日本橋三井タワーB1タワーダイニング
死ぬまでに一度は食べたい新宿『王ろじ』の「とん丼」
最後にご紹介するのは、1921(大正10)年創業の老舗洋食屋『王ろじ』(新宿)の「とん丼」です。これは正確に言うと、カツ丼ではなく“とんかつカレー丼”です。 「とん丼」は、丼よりも少し小ぶりの丸いボウル風の器に入っていて、カレーライスの上に真ん丸いトンカツ半身が3切れ。さらにそのカツにソースがかかっています。
衣は厚めで、ザクザクとした食感。こんがり香ばしい。中の肉は豚ロースを丸めたような感じになっていて、柔らかくてふわふわしています。自家製ソースは玉ネギやフルーツの優しい甘さにスパイスが効いています。卓上の辛子をつけて食べると、ピリリと刺激的で、甘さと辛さのバランスが最高です。
続いてカレーライス。とろみがあって、昔懐かしい感じのカレールー。でもきちんとスパイスが効いています。辛すぎず、甘すぎず、実に優しい味わい。とんかつと一緒に食べるとさらに美味しくなります。 『王ろじ』では、付け合せにお新香を出してくれるのですが、これがまたとんかつカレー丼と相性抜群でしみじみ美味しい。ありそうでない、唯一無二の「とん丼」です。
●DATA 王ろじ 住:東京都新宿区新宿3-17-21
撮影・文◎土原亜子