今では絶対に使えないフレーズも 古いクルマのキャッチコピーを大特集
答えは友よ、どこにある?
ダジャレでも、ヘンなわけでも、だからといってカッコいいわけでもないが、妙に記憶に残っているのが「トヨタ・セリカ カムリ」(1980年~)の「男30 GTアゲイン」。2代目「カリーナ」をベースに「セリカ」の4ドア版としてデビューした初代カムリのキャッチコピーである。おそらく「若いときは(2ドアの)GTを乗り回していたが、30代になり落ち着いたところで再び(大人の4ドア)GTに……」といった意味合いなのだろう。四十数年前は30歳が大人の年齢と考えられていたと思うと、なかなか感慨深い。 初代カムリの兄弟車である2代目セリカ(1977年~)の登場時のコピーも引っ掛かった。クーペとリフトバック(LB)が存在したが、とりわけ後者が空力に配慮したことにフォーカスして「友よ、答えは風の中にあった」とうたっていたのだ。「答えは風の中にあった」は分かるが、なぜ「友よ」が付くのか疑問だったのだが、その答えは風の中ではなく、ノーベル文学賞受賞者でもあるボブ・ディランの代表曲のひとつである『Blowin’ in The Wind(風に吹かれて)』の歌詞の中にあった。おそらくこれは、「The answer, my friend, is blowin’ in the wind(答えは友よ、風の中だ)」という一説から引用したのではないだろうか。 この2代目セリカの後期型から始まった、ライバルだった「日産スカイライン」とのキャッチコピーによる挑発合戦。それについてはよく語られているのでここでは触れないが、その延長線上にちょっと気になるコピーがある。 イメージキャラクターが俳優のポール・ニューマンだったことから“ニューマン・スカイライン”と俗称される6代目R30系。1983年、そのR30系に加えられた2リッター直4 DOHC 16バルブターボエンジン搭載の「2000RSターボ」が掲げた「史上最強のスカイライン」は、よく知られているキャッチコピーであろう。 では、その裏に「史上最強のスカイラインの弟か」という冗談のようなコピーが存在したことをご存じだろうか? 「パルサー」の双子車で、同じ日産プリンス店扱いのスカイラインの弟分だった「ラングレー」。「愛のラングレー」(初代)、「ポールとポーラの新ラングレー」(2代目)というキャッチコピーもスカイラインのお下がりだったのだが、そのラングレーの2代目(N12)に高性能版の「ターボGT」が加えられた際にカタログに躍っていたのがこのフレーズだったのだ。「弟か」と問われても、こちらが否定したところでそっちはそう思ってるんでしょう? としか言いようがないのだが。