今では絶対に使えないフレーズも 古いクルマのキャッチコピーを大特集
“ハード”とは何か?
軽市場でダイハツのライバルといえばスズキだが、スズキのキャッチコピーでは軽よりもコンパクトカーのほうが印象が強い。といえば、お分かりの方もおられるだろう。今もイケオジとして人気のある俳優の舘ひろしをイメージキャラクターに迎えた初代「カルタス」(1983年~)の「オレ・タチ、カルタス」である。言うまでもなく“俺たち”と“俺、舘”をかけたしょーもないダジャレだが、こんなのがテレビCMでバンバン流れ、新聞や雑誌の紙(誌)面に踊っていたのだ。1.3リッターDOHC 16バルブユニットを積んだホットモデルの「1300GT-i」の追加時には、“Hard Touch”をもじった「ハード・タチ、カルタス」というバリエーションが使われた。 ちなみに1988年にフルモデルチェンジした2代目カルタスのキャッチコピーも、イメージキャラクターを務めた当時シンガー・ソングライター、現ジャズピアニストの大江千里にかけた「カルタス、千里走る」だった。だが初代の印象が強すぎたようで、こちらが話題に上がることは少ないようだ。 ダジャレ系キャッチコピーといえば、アメリカ人俳優のマイケル・J・フォックスをイメージキャラクターに起用した2代目「ホンダ・インテグラ」(1989年~)。「カッコインテグラ」、「気持ちインテグラ」、「めちゃインテグラ」、「調子インテグラ」なんていう四部作(?)がありましたな。 「ハード・タチ、カルタス。」で思い出したのだが、“ハード”という言葉は、かつてはよくコピーに登場した。例えば初代「ホンダ・プレリュード」(1978年~)の「ハードエレガンス感覚」など、たいていは高性能を訴求する場合に使われた。 ところがこの“ハード”が、なんとも似合わないクルマに使われたことがあるのだ。それが何かといえば、1969年に登場した「スバルR-2」。高性能軽ブームの渦中とあってバリエーションにはハイパフォーマンス仕様もあったものの、丸っこいその姿は愛らしく、今の目には“癒やし系”に映るだろう。ところがデビュー時のうたい文句は、なんと「ハードミニ」だったのである。