「ひとりカラオケ」の秘密 歌唱データが明かすリピートの熱量と年齢を超えた共通曲
「ひとり」だからこそ新しい仲間に出会える
前述の研究「ひとりマグマ」での発見の中にも、能動的にひとりで行動することの効用として、「『ひとり』だからこそ新しい仲間に出会える」というものがありました。家族や友人、同僚と一緒に行動していては出会えなかったような、新しい仲間に出会えるチャンスが生まれるということです。 今回分析対象とした、ひとりカラオケユーザーの方々も、「ひとり」で好きな曲を歌い込むことに励みつつ、曲を通じて新たなカラオケ仲間と出会える可能性があるのかもしれません。 本分析では、ひとりカラオケという、定義上、外部からはみることができない行動を、データを通じて視覚化してみました。そこからは想像を超える回数で同じ曲を歌っていたりする生活者の熱量や、性別や年齢層を超えて共通して歌われる曲の存在が浮かび上がってきました。「ひとり」での行動は、カラオケに限らず、キャンプやフェス参加、ホテルステイなど、様々な生活領域で行われるようになっています。普段はみえにくい「ひとり」での行動も、じっくり観察してみると、意外な市場の可能性が広がっているのかもしれません。 1 「ひとりでカラオケを歌唱している人」の歌唱データは、JOYSOUNDの会員サービス「うたスキ」会員のデータの中から、ユーザーのログインデータを元に、曲と曲の間隔が一般的なグループカラオケと異なるなど、複数の要素からひとりで歌唱していると想定される状態を定義して対象者を抽出しました(対象期間は2023年5月)。この条件に合致するユーザーから、今回は男女×10代/20代/30代/40代/50代/60代の6つの年齢層に対して各30人分、計360人分の歌唱データを30回分ずつ取得しています(人によって対象期間中に歌っている回数は異なりますが、30回を超えるデータはカットしています)。
博報堂生活総合研究所 上席研究員 伊藤耕太