次世代スタンダードを標榜 マツダ「CX-3」に乗る
世界初のディーゼル制音機構を採用
CX-3の話題のひとつは全車ディーゼルというグレード構成だろう。これはマツダ自慢のSKYACTIV-D 1.5で、基本はデミオと同じものだが、トルクが20N・m増えている。マツダとしてはディーゼルをイメージリーダーとして売って行きたい。 エコエンジンとしてはガソリンのSKYACTIV-Gもキチンと改良されているし、まだまだ伸び代はある。しかし他社がハイブリッドだ小排気量ターボだとわかりやすく名前のついた「エコエンジンらしさ」を訴求してくる中で「普通のガソリンエンジンも頑張ってます」ではいかにも弱い。そこは「欧州で評判の新世代ディーゼルです」と訴求出来た方が話としてわかりやすい。
「ディーゼルならマツダ」というイメージがもう少しで固められそうな状況でディーゼル推しになるのは企業として当然の戦略だと思う。ちなみにCX-5が出るまでは、マツダ社内でも、エコエンジンの主軸にディーゼルを据えることに賛否両論はあったらしい。石原元都知事があれだけ騒いで、ほぼ絶滅させてしまったディーゼルで本当に行けるのかどうか、それは当時としては危惧があって当然だろう。 しかしCX-5の成功でマツダは手応えを掴んだ。ふたを開けて見れば、販売台数の8割がディーゼル。続くアテンザでも8割を占めた。販売価格が勝負の分かれ目になりやすいBセグメントのデミオでも6割を超えた。車両価格はガソリンモデルの最廉価モデル135万円に対し、ディーゼルの最廉価モデルは約42万円高の178.2万円と大きな差額があるにも関わらずだ。
実際CX-3の概要はCX-5の発売に前後して決まったらしいので、それらの動き全てが「全車ディーゼル」を決めたとは言い難いのだが、実績を積んだことで自信を深めて行ったことは容易に推測できる。 また、今回は世界初となるディーゼルエンジンの制音機構「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を採用している。写真を見てわかる通り、金属棒に2か所のくびれを入れただけのものだ。肉眼ではわからないが、これは中央部の径だけが0.1ミリほど太くなっており、中空のピストンピンにこれを圧入すると、両サイド部分は自由に振動できる。つまりダイナミック・ダンパーとして働くわけだ。