世界を変えた天才学者はどうしようもない「カンニング犯」だった!?…構造主義を発見した男の「意外すぎる過去」
カンニングがバレて停学!
学生時代、レヴィ=ストロースは試験の時にカンニングをしてつかまり、2日間の停学をくらいました。その際、父からもこっぴどく怒られたといいます。どうやら当時は勉強が飛びぬけてよくできる優等生でもなかったようです。 彼は画家であった父の影響で、ワグナーをはじめドビュッシー、ストラヴィンスキーなどの音楽を愛するようになります。さらにはピカソに感動し、画家や音楽家になりたいとも思っていました。父方の曽祖父はナポレオン3世の時代、楽団を率いてオペラ座の指揮者を務めた音楽家でした。芸術家肌の一面も持っていたのです。 レヴィ=ストロース自身も小説や劇作、映画のシナリオを書いていました。18歳の時には、社会主義思想を実践に結びつけたフランス国民の英雄バブーフを取り上げて、彼の革命的蜂起までを描いた『グラックス・バブーフと共産主義』という冊子を出版しています。 レヴィ=ストロースは音楽や芸術に惹かれながら社会の出来事にも興味を抱き、多岐にわたって関心を持つ少年時代を過ごしたようです。後に書かれる『神話論理』4巻を、「序曲」から始めて「終曲」に終わるひとつの音楽作品に見立てていることの根底には、レヴィ=ストロースの音楽への並々ならぬ関心と、神話と音楽が似たものであるという直観が横たわっているのです。 さらに連載記事〈なぜ人類は「近親相姦」を固く禁じているのか…ひとりの天才学者が考えついた「納得の理由」〉では、人類学の「ここだけ押さえておけばいい」という超重要ポイントを紹介しています。
奥野 克巳