転職組を見ていると、ずっと同じ会社にいていいのか焦る…48歳・佐久間宣行が考える「会社の辞め時」
転職のファーストステップは自己評価と他己評価を一致させること
転職を考えているなら、年齢に関係なく、一回自分のキャリアを総ざらいしてみることが大事だと思います。自分が働いてみたい成長ジャンルにおいて、使える知見と武器はどのくらいあるのか、それを把握する。 加えて、本当の自分はどうあれ、周囲からどう思われているかを知ることもやったほうがいいと思います。なぜならせっかく武器を持っていても、それが周囲に認識されていないことには仕事は来ないからです。まわりに聞いて初めて、実力は充分だがアピールが足りていないなとか、アピールはたくさんしているが実際に仕事は来るんだろうかとか、具体的に検討できるようになる。そうやって自己評価と他己評価を一回精査するというのは、転職の際のファーストステップだと思いますね。 僕も自分の武器が何かはよく分からなかったので、周囲に聞きました。それも具体的に。僕がやった仕事でどれが一番良かったかとか、僕と一緒に仕事をしていて勉強になったことはあるかとか。冗談まじりに、そういう聞き方をしていましたが、いざ聞いてみると「代表作ってこれだと思われているんだ!」とか「勉強になったことってそれかい!」みたいなことはたくさんありましたね。 で、そうやって聞いた“自分”をさらに2段くらい低くしたのが本当の自分だと、僕は思うようにしていました。いざ質問したら、人というのは耳に優しめのことを言うものですから。そこから2段落として、やっと本当の世間の評価になる。そのぐらいの受け止め方で聞くことも大事だと思いますね。
現代はランダムにチャンスが転がっている時代
でも今ってこういう、何にでも可能性がある時代ですから。成長分野が決まっていないというか、かつてのように物作りだけが全てじゃなくて、どこに成長分野が隠れているか分からない時代。チャンスがランダムに転がっているとも言えるので、漫然と働いてさえいなければけっこうステップアップしていけると思うんですよね。 僕自身、振り返ってみると「これで勝てる」と思ったもので勝てたことはそうはなくて、面白かったり勝てる仕事はランダムに訪れていたと思います。だからこれからは、変な仕事というかあまりやったことのない仕事をやってみて、「おや、ここなら意外と楽しいかも」を積み重ねていきたいと思っていますね。 もちろんやったことがなければ何でもいいかというとそうではなくて、ちゃんと調べたり、ある程度の根拠は持ってのぞみますよ。たとえばショートドラマって日本ではあまり浸透していないけど、中国では爆発的に売れているんですね。ある程度エビデンスはあるんだけど、僕自身はまだ挑戦をしたことがない。そういう仕事をやっていってみるというのも一つのキャリアプランとしてアリ、という時代なんじゃないかと思っています。 佐久間宣行(さくま・のぶゆき)1975年11月23日、福島県いわき市生まれ。テレビプロデューサー、演出家、作家、ラジオパーソナリティー。『ゴッドタン』『あちこちオードリー』『トークサバイバー』などのテレビ番組、配信作品を手がける。元テレビ東京社員。2019年4月からラジオ『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』のパーソナリティを担当。Youtubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』は登録者数233万人を突破(24年11月時点)。著書に『佐久間宣行のずるい仕事術』(ダイヤモンド社)などがある。
山本 奈緒子(フリーライター)