転職組を見ていると、ずっと同じ会社にいていいのか焦る…48歳・佐久間宣行が考える「会社の辞め時」
お笑いのディレクター経験しかなかったらフリーになっていなかった
転職は何歳になっても考えていいと思います。実際、僕は45歳でテレビ東京を辞めてフリーになりましたし。ただしそこは自分のメンタルと、持っている武器と相談かな、と。自分自身、もうちょっと仕事で頑張りたいと思っているか。そして自分の持っている武器が今の会社以外で通用すると思うか。そこを見極めてから、辞める辞めないを決めたほうがいいんじゃないかと思います。 僕は相手が先輩でも、そういったことはハッキリ言います。「辞めるなら配信ジャンルのことを勉強してからじゃないですか」とか。やっぱりそこは、先輩の人生がかかっていますから。 僕自身はメンタル的にも武器的にもやっていけると思ったので、フリーになろうと決めたわけです。武器というのも、1つではありませんでした。もし自分がお笑い番組のディレクターしかやってきていなかったら、辞めていなかっただろうと思うんですよ。 でも僕はドラマの経験もあるし、ラジオパーソナリティもやっているし、イベントも作れる。やれるものが4つぐらいあったので大丈夫かなという、そんな判断でした。そういったことを見極めつつ、社内の人、辞めた経験がある人含め、いろんな人にも相談して決断の材料を得ていったほうがいいと思います。 おじさんからの悩み(2) 「数年前から新人がすぐ辞めたり、若い社員の転職が増えている。一度入ったら定年まで勤めあげるもの、という価値観を持つ上世代の役員たちは、部下の流出は現場の上司たちの責任と考えている。自分の失点になるのも嫌だし、できれば優秀な部下には辞めてほしくないので、彼らの流出を防ぐ方法を知りたい」(50歳・住宅)
部下が辞めるのは「ここで学べるものはもうない」と見限られた証
まずは、自分の上司、この方の場合だとそれは役員ですが、その人たちに逐一部下の評価を伝えておけばいいでしょう。そうすれば辞めたとしてもその部下の問題だ、と分かってくれるでしょうから。で、部下が辞めた後も一緒に仕事をできる関係を築く、そちらに尽力したほうがいい気がします。 でもこの方は部下に辞めてもらいたくなんですよね。それなら、自分のもとにいれば学べるものがたくさんあるよ、と思わせられるかが鍵になってきます。人は、自分が認められていて、かつ学べるものがあると思う職場ならまず辞めないんですよ。まだこの上司の引き出しを知りたい、そう思ってもらえる努力をするのが大事でしょうね。まあ、反対に外の世界では通用しないよ、と思わせるという手もありますが。僕はやりませんけど(笑)。 ただし、どうしたって何も考えずに辞めていく部下というのは必ずいます。これはガチャみたいなもんですね。そこはもう災難だったと諦めるしかないと思いますが、それなりに長く働いた部下が辞めるのは、もう学ぶものはないと見限られた証。だから見限られないような自分の情報を、出し続けないといけません。 自慢するわけではありませんが、僕のもとで働く人はほとんど辞めることがありません。それはなぜかというと、僕が面白い仕事を取ってくるからだと思います。「佐久間と一緒に作るとネットフリックスの仕事をやれるのか」とか、「フォロワー200万のYouTubeチャンネルをやれるのか」とか。その繰り返しだから、あまり辞めていかないんだと思っています。 とはいえそんな自慢話を聞きたいわけではないでしょうから(笑)、やはり今いる職場がまだ使えるぞ、リソースがたくさんあるぞ、と認めさせる。それが一番有効だと思うし、逆にそうやって認めさせられないと、部下の流出はこれからの時代、なかなか止められないとも思いますね。