日本一わずかに1回、阪神は日本シリーズに勝てる?
一方のソフトバンクだが先発の充実度では阪神に見劣りする(表1)。ファイルステージでは大隣が中4日で2試合に登板しチームを救ったが、黄色靭帯骨化症という難病から復帰して間もないだけにどこまで無理がきくのかは不透明。また3戦目で先発し2回7失点と炎上した攝津をどうするのかも大きな課題となる。一時的な不調であれば当然日本シリーズでも登板するところだが、攝津の場合8月に親指の負傷から復帰後まったく結果が出ていないという現実がある(表3)。投球回数を上回る安打を浴び、奪三振とほぼ同数の四球を与えるなど内容もよくない。仮に攝津を外すとなれば代役は飯田ということになるが、その場合9月20日以来の公式戦となる。まだ経験の少ない投手だけに過度な期待はかけづらい。このように不安が多い投手陣の中で期待をしたいのがスタンリッジだ。昨シーズンまで阪神に在籍した右腕は6月9日の阪神戦(甲子園)で3安打完封勝利を挙げている。19日の第5戦でも6回無失点と調子も上々だ。契約延長を見送った古巣を見返す活躍ができればチームを大きく日本一に近づけることになる。
■リリーフ投手 呉昇桓はどこまで持つのか、手駒は豊富なソフトバンク
ここまでの快進撃はすべて呉昇桓の存在によるといっても過言ではない阪神。ここまでのクライマックスシリーズ6試合にすべてに登板、レギュラーシーズン終盤からは11試合連続で登板し、その間チームは1敗しかしていない。まさに獅子奮迅の活躍なのだが、その存在が圧倒的になるにつれ呉昇桓以外の投手を登板させにくい状態になっている側面がある。表4は両チームリリーフ陣のクライマックスシリーズでの投球数をまとめたものだが、6試合に登板した呉昇桓の投球数は実に126。阪神リリーフ陣の全投球数に対する割合は48%という非常に高い数字になってしまっている。4日連続の登板となった18日の巨人戦ではストレートにいつものスピードがなく2本のホームランを浴びた。点差もあっただけに力をセーブしたことも考えられるが疲れがたまっていることは間違いないだろう。とはいえここまでくれば出し惜しみすることはもうできない。呉昇桓が最後までその力を発揮できるのか、これが阪神日本一のための最大のポイントだ。