祝・連載1周年! 私が『週刊プレイボーイ』を選んだ理由【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
■私が『週刊プレイボーイ』を媒体として選んだ理由 1年前の私は、「感染症研究やアカデミアについてのコラムを執筆したい」というようなことを、それまでの活動の中で知り合った出版関係の方々に話していた。そんな中、大変ありがたいことに、いくつかの媒体からその機会を提案いただいた。 ――それでは、そんな複数の選択肢の中から、なぜ私は『週刊プレイボーイ』を選んだのか? コラムを書くにあたって私が優先したかったのは、①ウェブで読める、②タダで読める、③書いたものがアーカイブとしてずっと残る、という3点であった。 まず、「①ウェブで読める」であるが、やはりこのご時世、広く読んでもらうことを優先した場合、紙媒体だけではなかなかに厳しい。新聞をとる家庭も減ってきているし、雑誌や書籍の場合、そもそも書店やAmazonで購入してもらわないと読んでもらえない。気軽に手軽に読んでもらうためには、やはりウェブで、スマホ片手に読めるようなものであることが望ましい。 次に、「②タダで読める」であるが、これは個人的にかなり重要なポイントであった。大手既成メディアのウェブ媒体には、読んでみたくなる、興味が湧く記事がたくさんある。しかしそのほとんどは有料(サブスク形式)で、タダで全文を読むことができないのである。「なにをケチなことを」と言う人もいるかもしれないが、やはりお金のことを気にすることなく、スイスイ読めるにこしたことはないはずである。 そして、「③書いたものがアーカイブとしてずっと残る」こと。これも意外と盲点で、ネットニュースのほとんどは、時間が経つとウェブから消えてしまうものが多い。そういえば、と思って昔の記事のURLを辿ってみても、「404 Not Found」と表示されてしまうことも少なくない。私が「執筆した学術論文のことを自分の『作品』だと思っている」ということは6話でも紹介したが、それはこのコラムも同じである。せっかく自分でしたためた文章、それはやはり、私の中では「作品」であり、ずっと残したい、残ってほしいものである。 これらを考慮した結果、いただいたいくつかの提案の中で、これらのすべてを満たしていたのは、『週刊プレイボーイ』だけであったのである。 それに加えて、1話でも紹介したように、新型コロナパンデミックの中で、『週刊プレイボーイ』は、科学に基づいた真っ当な記事を載せる、当時としては(現在も)とても稀有で貴重な媒体であった、という背景がある。それは、編集者のKさん(私のこの連載コラムも担当してくれている。32話にも登場)と、その記事のライターを務めていたKさん(どちらもイニシャルKで紛らわしいですが、別の人です)の努力にほかならない。私も何度か彼らの取材を受ける中で、彼らの真摯な姿勢を目の当たりにしていたからこそ、『週刊プレイボーイ』を媒体として選ぶことに、個人的な抵抗感はまったくなかった。