耳はイヤホン、目はスマホが当たり前の配達員。衝突事故を起こすも謝罪が出てこない…。規制強化で悪質な自転車ドライバーがいなくなる日は来るのか。
11月1日から自転車の罰則が強化された。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。「話題になっているのはスマホを操作しながらのながら運転です。通話はもちろん画面を2秒以上注視して運転をすると罰則対象。ほかに酒気帯運転はこれまで対象となっていませんでしたが3年以下の懲役、または50万円以下の罰金。さらにイヤホンをしながらの運転も5000円から1万2000円程度の反則金が課せられると言います」。 対象は16歳以上だそう。 「確かに昨今イヤホンをしたままの運転やスマホを見ながらのながら運転に対して、危険だなと思うことは少なくありません。以前は自転車は歩行者に近い存在と捉えられていたように想いますが、今はより車両であるという認識が強まっていると感じます。自転車事故は確実に増えています。明日は我が身と思ってきちんとルールを守りたいですね」。 今回話を聞いたのは、最近立て続けに自転車事故、そして違反を目撃した男性の話だ。 -----------------------------------------------------------
杉山隆さん(仮名・56歳)は、毎日車を運転している。 「市場の八百屋に勤めているので、午前1時くらいに家を出て、その後配達をして昼前に帰宅するようなライフサイクル。特に怖いのは朝の時間帯ですね」。 若い世代のほとんどはこれまでイヤホンをして自転車を運転している印象だったと話す。 「前々から大丈夫なのかな?と不安視するところはありました。だって、音が聞こえないって結構怖くないですか?今のイヤホンって本当に周りの音がまるで聞こえないくらい高性能じゃないですか。娘と息子もよくしていますが、話しかけてもまるで聞こえていないなんてこともしばしば。それで自転車に乗っていると考えると怖くてたまりません」。 自身の子供にはイヤホンを禁じていると話す。 「規制強化の前から禁じています。自転車は車とは違い、防御するものがないため、転んだりしたら大怪我になりかねない。さらに人との接触の危険性もありますし、五感でしっかり周りを感じながら乗るのが正解だと想います」。 先日も近所で事故に遭遇した。 「いわゆる配達員の方とご近所さんがぶつかっているところを偶然見かけました。自宅近くの駐車場に車を停めて歩いていたときのこと。配達員の方が自転車に備え付けたスマホを見ながら運転してて、左側の家から出てきた人とぶつかって…」。 スピードはさほど出ていなかったものの前を見ていなかったようで自転車がかすって転倒。ぶつかられた方の女性は座り込んでしまったという。 「知っている人だったこともあり、すぐに駆け寄り警察と救急車を呼びました。しかし、ぶつかった方はまるで悪気がない様子。耳には案の定イヤホン。1番驚いたのは、すみません!の言葉が出てこなかったこと。配達があると自分の都合ばかり話していて、その常識のなさにもほとほと呆れましたね。結局、ぶつかられた方は大事には至らなかったんですが、誠意のなさに驚きしかありませんでした」。 コミュニケーション能力の低さを感じたと話す隆さん。 「こんなこと言ったらあれですけど、コミュ障ってやつなんじゃないかと思っちゃいましたよ。人にぶつかってるのに謝れないって相当じゃないですか?」。 そのほか朝の時間帯も逆走をしたり、歩道と車道を行ったり来たり走る自転車などを見ない日はないという。 「正直、違反車両はどんどん取り締まってほしいです。だから規制強化には賛成でした。実は早速イヤホン着用か何かで警察に止められているところも見ました。それも家の近くでしたね」。 幹線道路から一本入った道路でのこと。隆さんは路肩にとめて、同僚が店に野菜を配達するのを待っていたという。 「待ち構えていたんでしょうね。このやり方にはちょっと嫌気が差しますけど」。 止められたのは高校生らしき若者だった。窓を開けると話し声が聞こえたという。 ー聞いてないです。つけてるだけ。 ほとほと呆れる言い訳に隆さんは愕然とした。 【後編】ではその言い訳とさらなる危険行動について話を聞いていきたい。 取材・文/橋本 千紗
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